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                   <大人の>
                 ときめきメモリアル
                  ~官能小説風~

                 人妻の甘美なミルク

 

  少年が自分に好意を抱いていることはすぐに解った。命を掛けるような情熱的な好意ではな
 く、熱病のような性的関心に多くを割かれた好意である。おそらくは夜毎日毎に想像を逞しく、
 或いは幼稚なそれに陰茎を勃起させては、抑えのきかない自慰に耽り、幼い精液を溢れ出させ
 ているのだろう。
  まだ高校に通っている時分には、そんな感慨を抱いたことはなかった。彼女自身いまにして
 思えば随分と幼稚で青臭いものではあったが、磨き上げた美貌と、魅力をたっぷりと含ませた
 肉体を餌に、盛りのついた男子生徒を惹き付けてはもてはやされるされることに喜びを覚える
 程度の、底の浅い考えしかもっていなかった。
  その高校を卒業して十二年。結婚して子供を産み、生活に追われる中、いつの間にか物の本
 質に迫る考えかたを身につけていた。その中でも、殊に性に関しての考えかたは大きな変化を
 みせていた。性行為とは互いの魅力を確かめ合うためでも、快楽を得るために行うものではな
 く、あくまで子孫を残すために存在しているのだと悟った。
  それだけに、彼女は少年に憐れみを覚えていた。十四歳という年齢に、国は結婚の自由を与
 えてはいない。子孫を残すことは、少年にとっては犯罪に近い行為となってしまう。それなの
 に性欲は、ある。性欲の本質が子孫繁栄である以上、自らを慰めるだけでは、到底満足など得
 られようはずもない。日々の苦悶は想像して余りある。
  いまもまた、エレベーターという密室の中にあって、少年の興奮が微熱となって背中に伝わ
 ってきている。きっとうなじや臀部に視線を送っては、腰をむずむずとさせているのだろう。
  ドアが開き、十二階に到達すると、彼女はベビーカーを押してエレベーターを降りた。
  通いなれた廊下を進み、自宅の前に辿り着くまで無言だった。
  背後から続く少年の足音もまた、ひっそりとしたものだった。
  鍵を開けてドアを開くと、彼女は振り向いて言った。
 「どうもありがとうね」
 「いえ、あの、それじゃあ失礼します」
  精一杯の丁寧な言葉遣いと共に、少年は手にしていたビニール袋を差し出した。頬に差した
 赤みと滲み出ている汗は、真夏の炎熱のせいばかりではないだろう。買い物帰りに偶然出会い、
 必死の様子で荷物を持ちましょうかと申し出た初々しさが蘇る。同じマンションに住み、何度
 も会話を交わしたことがある顔見知りなのに、少年の態度はいつまで経っても当初のころと変
 わりが無い。
 「あら、何か冷たいものでも飲んでいらっしゃいな」
 「はあ、でも…」
 「ね?」
 「はい…」
  神妙に頷いた少年に彼女は微笑んだ。年の功を差し引いても、男性に有無を言わせない手管
 に衰えはみられない。久しく忘れていた高校時代の沸き立つような楽しさが、それでも年月に
 研磨された優しげな緩衝材を纏って胸中に弾んだ。
  少年をリビングに案内すると、厚手のカーテンの功績か、それとも家賃に見合うだけの断熱
 効果の成せる技か、室内には出掛けまで稼動していたエアコンの冷気が、しっとりと潜んで肌
 に心地よかった。
 「腰掛けててね」
  少年にソファを奨め、彼女は隣室へと息子を抱き運んだ。生後五ヶ月の赤子は無心に眠り続
 け、ベビーベッドに移されたときでさえ眼を覚まさずにいた。
 「しばらくおねむしててね」
  優しく額を撫でると、彼女は慎重にエアコンの温度を設定し、その脚でダイニングキッチン
 へと向かった。
  作り置きの麦茶を注いだグラスを手にリビングに戻ると、少年は畏まって頭を下げた。
 「どうぞ」
  とグラスをガラス製のテーブルに置き、向かいのソファに腰を下ろす。
 「いただきます」
  もう一度頷くように頭を下げ、少年は冷たい液体を喉に送り込んだ。色白の線の細い少年の
 喉は少女のそれのようで、喉仏などという無骨なものの兆候は見られなかった。
  彼女はしかし、少年がちらちらと自分の乳房に視線を送っていることに気付いていた。向か
 い合った上にまともに顔も見られない気弱さが重なり、泳いだ視線が吸い寄せられるようにそ
 こに向かってしまうのだろう。
  少年のそんな性的好奇心の対象となることは、不快ではなかった。優しく頼り甲斐のある夫
 に不満はなかったが、彼は出産に立ち会ってからというもの、純粋な性的興奮に身を任せて妻
 の肉体を見ようとはしないのだ。おそらくは子を産むという女性に神秘的な感情を抱いたのか、
 或いは子孫を残したという意識に支配され、恒久的な満足感を得てしまったのかもしれない。
  彼女は、じん、と底腹が熱くなるのを覚えた。少年を哀れに思う気持ちが瞬く間に不埒な考
 えに転化された。それを禁忌的に思う理性は残されていたが、何も知らない若い雄に子孫を残
 す方法を教えるのは、先輩の雌として正しいことのようにも思われた。それは素晴らしく道徳
 的なことなのではないのだろうか。
 「おっぱい、おおきいでしょう?」
  たぷん、と乳房を持ち上げて彼女は言った。
  少年はぎくりと身を硬くしたが、彼女が何気ない風を装っていたので驚くことも出来ずに、
 「は、はあ…」
  とぎこちなく応えるのが精一杯だった。年上の、しかも子持ちの女性にとっては、この程度
 の話題は性的なものではなく、母性的な、極めて真面目な話題なのかもしれないと考えたのだ。
 「わたし、母乳の出がよくてね、すぐに張っちゃうのよ」
 「そうなんですか…」
 「そうなの。だからちょっとごめんなさいね」
  言って、彼女は立ち上がった。
  部屋の片隅にあるサイドボードから、透明なプラスチックの容器を手に取って戻る。
  少年は顔を真っ赤にして沈黙している。半ば何が始まるのかを理解し、期待と不安と恐怖に
 苛まれ、如何ともし難いのだろう。
  彼女は期待を裏切ろうとは思っていなかった。
  白いサマードレスの胸元のボタンを外し、肩紐をするりと滑らせ、ぱさりとそれを降ろして
 乳房を露にしたのである。
  カップの深いブラジャーに包まれた乳房は、見事な肉感を具えていた。元が大きかった上に、
 いまは母乳を分泌するために更に巨大になっている。自らの子孫を育てるためのものだと理解
 している夫以外の男性には、どこまでもはしたない破廉恥な乳房に見えるだろう。彼女は世の
 男性の中には小さな乳房に性的関心を寄せる者がいることを知ってはいたが、それとてこの乳
 房を眼にしたら興奮せずにはおれないだろうという確信を抱いていた。いわんや少年において、
 である。
  もちろん少年は、いまにも卒倒してしまうのではないかという面持ちで目の前の光景に息を
 呑んでいた。それでも己が性的な眼でそれを見ていると悟られたくないのか、必死に平静を装
 おうとしているのが健気であった。
  彼女はブラジャーのホックに指をかけ、瞬間的な羞恥心に囚われた。子育ての最中にある己
 の乳房の有様が脳裏に蘇ったのである。しかしその羞恥心は心地のよいものでもあった。久方
 ぶりに子宮に疼きが蟠った。
  フロントホックが音を立てて外れると、彼女はひといきにブラジャーを脱ぎ捨てた。
  ぶるり、とあらわれた乳房は、何かの病に侵されているが如き醜悪な巨大さを見せ、その乳
 首たるや、少女にはない、しっとりと滲むような、優しげな白い肌とは対照的なほど真っ黒に
 鬱血して肥大化し、乳輪などは乳房の三分の一にも達しようかという広大な面積を保有してい
 た。しかも乳首と同じように黒ずんだそこには、こまかな突起物が無数に立ち並んでいるので
 ある。ブラジャーの内側に忍ばせてあった母乳吸い取りパットは飽和状態にあり、乳房の大部
 分はてらてらと濡れ光っている。彼女自身、息子に乳を与える幸福の間に間に、なんとみっと
 もない乳房に成り果ててしまったのだろうかと赤面することがあるほどだ。しかし、本来乳房
 とは子育てをするための器官、即ち授乳器官である。人体に備わった極めて原始的な、文化活
 動と称する人類の自己満足的な活動とは一切の関知を持たない部位である。ことに際して醜く
 なるのはむしろ当然なのかもしれない。男性が乳房に性的関心を抱くのはその証であり、女性
 が美点として勘違いも甚だしい意識に囚われているのも、そこに起因するのだろう。自らの原
 始的な部分を衆目に晒すことは羞恥が許さない。それならばいっそ美点として見せびらかせて
 しまえという逆説的な自己防衛に違いない。かつて自身が行っていた赤面してしまうような児
 戯を思えばこそ、そのような思いは一入の感がある。
 「ごめんなさいね、きもちわるいでしょう?」
  上目遣いに言うと、少年は慌てて眼を逸らせて左右に首を振った。
 「あん」
  うろたえたような声に少年が反射的に視線を戻すと、丁度彼女の乳首からじくじくと溢れ出
 た白い液体が、筋となって流れ落ちるところであった。それで、少年の性的興奮は極大化され、
 不安や恐怖を飲み込んで膨れ上がり、腰の奥がむず痒くなったかと思うと、鼓動に併せて流れ
 込んだ血液が、陰茎を段階的に、そして最終的には激しく勃起させた。なんとならば母乳を分
 泌する乳房とは子育てに対する機能が充分に発揮されている証拠であり、未だ子孫を残してい
 ない雄にしてみれば、子造りの相手としては申し分ないことの証明であるからだ。
 「手伝ってくれる?」
 「なにを、ですか…?」
 「これをあてがってくれるかしら」
  彼女から手渡されたプラスチック容器を、少年は指示された通りにゆっくりと乳房の前に差
 し出した。
 「こうやって搾っておいてね、冷凍しておくの」
  彼女は両手で片方の乳房を掴むと乳首を容器の口に差し入れ、きゅ、とばかにり揉んでみせ
 た。
  途端に驚くべき量の母乳が乳首から八方へと飛び散り、細い筋を幾多も描き出した。
  彼女が乳房を揉む度に母乳は噴き出し、容器に当たって、しゅこ、しゅこ、という軽やかな
 音を立てた。滲むように容器を滑る母乳は白い幕を形成しつつ、次第に底に溜まってゆく。時
 折、くふん、と漏れる気だるそうな鼻息は、彼女の心地よさそうな表情を具現化したものかと
 も思われた。
  少年は陰茎をひくつかせ、容器の中からじんわりと掌に伝わる温かさを感じていた。乳腺に
 よって血液から変換された滋養豊かな母乳の温かさは、やはり間違いなく彼女の血液の温かさ
 でもある。噴き出す血液を直接掌に受けているかのような感覚は、命の持つ根源的な興奮を呼
 び覚まさずにはおかなかった。
 「はあ、きもちいい…」
  うっとりと言った彼女は少年に指示を与え、もう片方の乳房の搾乳作業にかかった。
 「ねえ、こうやっておっぱいを絞ること、なんていうか知ってる?」
 「いえ、知らないです…」
 「搾乳、っていうのよ?」
 「そ、そうですか…」
 「いってみて?」
 「さ、さくにゅう…」
 「そう、搾乳してるの。搾乳、きもちいいの」
  もはや彼女には、己の言葉が少年の興奮を煽るためなのものなのか、それとも少年に知識を
 与えるためのものなのか、或いは己の性的興奮に思わず口走っているだけなのか、すっかり判
 断がつかなくなっていた。乳首を細かく震わせる母乳の噴き出る感覚は、男性の射精とはこの
 ような感覚なのではなかろうかと思わせるようなものがあった。彼女は膣壁がふっくらと膨ら
 んでゆくのを感じていた。何かが零れそうな危うい感覚が生まれる。実は搾乳などという言葉
 を口にのせたのはこのときが始めてであった。さくにゅう、さくにゅう、素敵、なんてきもち
 いい。そんなことを考えていた。年端のゆかない少年に成熟した雌を見せつける。ともすると
 ちょろりと尿を漏らしてしまうような興奮がある。神聖なものに違いない搾乳という行為に性
 的興奮を感じるなど、なんと恥知らずなことかとも思うが、それならば性行為が神聖ならざる
 ものなのかと心の片隅が反発する。きもちいいこと、えっちなこと、いやらしいこと、はずか
 しいこと。それでいてそのような考えを棄てきれない。
  すっかり容器の中に溜まった母乳は、相当な量になっていた。
  彼女はじんじんと痺れる乳首に大きく息をつき、
 「ありがとう」
  と微笑んだ。
  少年は手にした容器の扱いに窮し、結局己の手元に引き寄せてしまった。
 「そうだ」
  彼女はぽん、と手を打った。ふよふよと柔らかそうに乳房が揺れた。
 「それ、ちょっと飲んでみる?」
 「え、いや、いいです」
 「そんなこといわないで。どんな味がするか教えてほしいの」
 「でも…」
 「いや?」
 「そんなことないですけど…」
 「じゃあ、おねがい」
  少年は困惑した表情で、それでも容器を持ち上げて口につけた。
  一口含み、なにか苦いものでも飲み込むようにこくりと喉を鳴らす。
  彼女は思わず背筋を震わせた。血液に限りなく近い液体。それは人間の罪に対する罰なのか、
 生命の源ともいうべき血液に巣食う数々の恐ろしい病の元。それ故に血を分けた子供以外には
 容易に与えることかなわない母乳を、いま他人が口にした。自身が分泌したものであるにも関
 わらず、彼女とて口にしたことはない。
 「どう?」
 「あったかいです…」
 「それから?」
 「ちょっと、くさい…」
  うう、と彼女は心の内で呻いた。もっと恥ずかしい液体を飲んで欲しい。
 「もっと飲む?」
 「いいんですか…?」
 「あったかいうちにどうぞ」
  少年の首筋が震えた。
  今度は躊躇なく容器を傾け、それでもゆっくりと、滑らかに滑らかに母乳を流し込んでゆく。
  くぴ、くぴ、と喉を鳴らす少年の瞳はうっとりとしていた。彼女はそれを眺めながら、自身
 の唇がだらしなく開いていることを知覚していたが、唇の端に唾液が溜まりつつあることも含
 めてかまわないと思っていた。
  少年は母乳を飲みながら、ゆっくりと脚を開いていた。
  ジーンズの股間が健気に膨らんでいた。
 「はぶっ!?」
  妙な声を上げ、少年はびくびくと痙攣を繰り返した。
  撒き散らされた母乳が音を立てて少年の服に染みてゆく。
  痙攣はしばらく続いた。
  その間、少年の瞳は夢見るように虚ろだった。
 「はああ…」
  泣きそうな声を上げて少年がぐったりしたころ、彼女の姿はそのすぐ隣にあった。
 「出ちゃったの?」
  幼い少年が絶頂に達したのだと悟り、あの強烈な性的快感を彼がどのように受け止めたのだ
 ろうかという果てしない興奮を隠して優しく訊く。男性が精液を漏らすのを目の当たりにした
 のは始めてだった。早漏の極致ともいえる減少を少年が見せてくれたことに、感謝さえしたい
 心持ちであった。
 「はい…」
  呂律の回らない口調で少年が応えると、口中に溜まっていた母乳がだらだらと零れた。
 「きもち、よかったの?」
 「はい…」
 「拭いてあげようか?」
 「はい…」
  少年の思考は半ば停止しているようだった。直接刺激を与えたわけでもなく、人妻の母乳を
 飲みながら射精してしまったことに茫然としている。そもそも現在発生している状況が、性的
 な事象であるのかそうでないのか、判断すらつかないのかもしれない。
  彼女の手が股間に伸び、ベルトとジーンズのボタンを外しジッパーを下げると、少年は腰を
 浮かせて協力した。無意識の行動に近い。
  ジーンズを下げながら、彼女の興奮は耐え難いものになっていた。まるで始めて男性器を眼
 にしたときのような――いや、そのときは恐ろしさもあったが、いまは純粋に悦びだけが湧き
 上がってくるのだから、人生最大の興奮に違いない。ちゅるりと股間に粘液が溢れ出した。肉
 の狭間に熱を伴ったぬるみが染み渡る。
  ジーンズの下からは、ぴん、と勃った陰茎を納めた白いブリーフがあらわれた。突起の最上
 部には既に透明な染みが浮き出ている。
  きゅうきゅうと喉の奥を締めつけながら、彼女はそのブリーフを脱がせた。
  ぷるん、と飛び出した陰茎には、透明な部分と白濁した部分がマーブル模様を描く、粘つき
 ながらも滑らかさを失わない、クリーム状ともゼリー状ともとれる幼い精液が、たっぷりと付
 着していた。特に亀頭部分の殆どを覆い隠している包皮の辺りが濃厚だ。包皮の隙間からじく
 じくと溢れ出してくるようである。その包皮のせいで殆ど流線型に近く見える陰茎の長さは十
 センチそこそこしかないだろう。細長い子供の陰茎だ。こんなに幼い陰茎が精液を撒き散らし
 たという事実が不条理にも思えてくるが、薄い陰毛にまで絡みついた粘液からは、確かに青臭
 い、生殖本能を煽る匂いが立ち昇ってくる。
 「あらあら、たくさん出ちゃったわね」
  そっと陰茎に指先をあてる。
  ぬるりとした感触が生まれると、途端に少年の腰が震えた。
 「うふ、う…」
 「大丈夫?」
 「あ…」
  そこで始めて、少年の顔に羞恥のそれが浮かんだ。
 「ごめんなさい…」
 「なにが?」
  股間を隠すこともままならず、少年は俯いた。
 「その…小さいし…包茎だし…漏らしちゃって…」
  消え入りそうな声には、少年なりの男としてのプライドが詰まっていた。しかしそれはずた
 ずたに引き裂かれているに違いない。
  彼女は傍らにあったティッシュペーパーを何枚か抜き取り、陰茎を覆うようにして言う。
 「そんなこと、謝らなくてもいいの。男の子はね、赤ちゃんをつくるためにどうしても射精し
 なくちゃならないんだから、早くたってかまわないのよ。そのほうが赤ちゃんをつくるために
 はいいんだから。それに、あなたのおちんちん、とってもえっちで素敵だわ」
 「そう、ですか…?」
 「そうよ。だから女のひとのあそこはきもちがよくなるように出来ているの。男の子から早く
 精液を貰うためにね」
  少年は俯いたままであったが、年上の女性に誉められたことに、満足感を得ているようであ
 った。
  彼女は少年の隣に腰掛けたまま、丁寧に精液を拭い始めた。
  少年の腰はひっきりなしにひくひくと痙攣を繰り返す。
  陰茎ですらひくついて、彼女の指に弾力のなんたるかを伝えてきた。
  興奮した彼女の乳房からは母乳が溢れだし、ぽつん、ぽつん、と雫が落下している。
 「ねえ、どうして漏らしちゃったの?」
  ふいに彼女は言った。
  少年は顔のすぐ隣で、揺れながら母乳を垂らす乳房に釘付けになっていた。
 「おっぱい飲んでたら…興奮しちゃって…」
 「どうして?」
 「だって…えっちだったから…」
  彼女は自らの興奮を律しきれずに、片手で乳房を持ち上げて、きゅ、と指に力を込めた。
  噴出した母乳は少年の顔に撒き散らされ、彼の切なそうな悲鳴と痙攣を誘う。
  異常な行為ではあるが、ふたりともにそう考えるだけの理性は失われていた。
 「まだ硬いわね、おちんちん」
 「はい…」
 「もういちど、射精したい?」
 「したいです…」
 「いいわ、手伝ってあげる」
  すっかり精液を拭い終わっている陰茎の根元を、彼女は指先だけで摘むように握った。
  こりこりとした肉茎が、弾みながら逃げようとする感触に、異常なまでの興奮を覚える。
  短いストロークで、こきこきと射精を促す刺激を与える。
  すぐに少年は鳴き声をあげ始めた。
  彼女の指の動きに併せ、健気に腰を蠢かせる。
 「きもち、いい?」
 「むずむずします――ッ」
 「力を抜いて、そのほうがきもちいいから」
  彼女は決して根元以外の場所に刺激を与えない。以前夫にせがまれて同様の行為に及んだ際、
 そうするようにと指示を受けていたからだ。夫の言によれば、そのもどかしい快感は射精時に
 一気に膨れ上がり、最高の快美感を与えてくれるとのことだった。我慢に我慢を重ねた痒みの
 元に、思う様爪を立てたようなものだと夫は説明したものだ。
 「はあ、ああ、あうああ――」
 「いいの? いきそう?」
 「はあ――出ちゃいます――」
  少年に性の悦びを与えているという背徳的な興奮。彼女は母乳を滴らせながら膣内の分泌物
 をも滴らせていた。少年の身体からは体温に温められた母乳の匂いが立ち昇り、嘔吐物のよう
 な臭気を放っていたが、それもまた性的な刺激のひとつとなっていた。
 「あ、きもちいい…」
  二分と経たずに少年がそう宣言した。
  ぴゅくん、と精液が噴き出したのはその一瞬後だった。
 「は、ふぐ――」
  漣のような痙攣が彼女の身体にも伝わってくる。
 「ほら、がんばって、たくさん出してすっきりなさい」
  ぴくぴくと跳ね回る陰茎をなおも擦りながら、彼女は少年が動かなくなるまで射精を完遂さ
 せた。ニ度、三度と繰り返された射精により、テーブルの上には細く尾を引く精液が、何故か
 切なそうな雰囲気を伴って残った。射精と同じ周期で、それこそ射精をしているような感覚を
 伴って迸った彼女の愛液も、ショーツに切なげな領域を広げていた。
  少年の息が落ちついたころを見計らって、
 「すっきりした?」
  と彼女は訊いた。
 「はい…」
  少年は満足気に応えたが、陰茎は未だ勃起したままである。
  彼女は少年の顔に視線を併せた。
 「でもね、あんまり出したらだめよ?」
 「え…?」
 「だって、精液って赤ちゃんのもとでしょう? 男の子が一生懸命つくったものじゃない。そ
 れをこんなふうに無駄にしたらいけないわ」
 「でも…」
  言いかけた少年の唇を、素早く顔を近付けた彼女の舌が舐めあげた。少年にしてみれば不意
 打ちではあるが、彼女にしても、それは自分でも想像していなかった行動だった。衝動に抵抗
 することが出来ない。ふあ、と呻き、少年は滑らかで熱い感触の余韻に震えた。
 「だから、無駄にしなくてもきもちよく射精できる方法をおしえてあげる」
  言うなり立ち上がった彼女は、ショーツを脱ぎ捨ててサマードレスの裾を捲り上げ、絨毯の
 敷かれた床に仰向けに寝そべった。少年に向けて脚を広げ、両手でぽってりとした肉付きのよ
 い性器を開いて見せつける。ある程度の段階を踏んで、という密かな目論見は消え去っていた。
 はやくあの無知な少年に交尾の方法を実践指導したい。それだけしか考えられなかった。
 「ね、ほら、ここを使って射精すれば無駄じゃないわ」
  言いながら性器をひくつかせる。両手の人差し指を膣に挿し入れて開けば、僅か五ヶ月前に
 我が子を通したばかりの柔肉が難なく広がり、ぽっかりと内側の粘膜をさらけ出す。彼女自身
 以前の締まりのよさは失せたと実感していたが、だらしなく開く膣口は、ある意味なんと魅力
 的なのだろうかとも思っていた。夫にも知られていない彼女の秘密のひとつには、鏡に映った
 己の性器を環礁しながらの自慰という項目が存在している。膣内深くの恥垢と交じり合い、す
 っかり白濁した粘液が漏れ出しているのが感じられる。
  少年は生々しい女性器を前に、すっかり逆上していた。むっちりとした白い太腿の間に咲い
 たそこは紫色に濡れひかり、怪我でもしているのではないかと思えるほどの複雑な形を示して
 いる。美しく、優しく、憧れであった年上の女性が、ほっそりとした指先でそこを見せつけて
 いる。そう考えただけでも、あまりの興奮に吐き戻してしまうのではとさえ思われた。同級生
 相手ではとても頼めない。或いは人妻であり子持ちの彼女ならばと、不埒な想像に陰茎を硬く
 していた日々。その夢が叶おうとしている。
 「したくないの?」
  ひとことに、少年はがむしゃらに人妻の身体にのしかかっていった。
 「したいです! させてください!」
 「きゃん」
  人妻らしからぬ、しかしまことに相応しい悦びの悲鳴を上げ、彼女は必死でしがみついてく
 る少年を抱いた。同種族の若い個体が己を孕ませようと躍起になっている。それは成熟した個
 体として、どこまでも誇り高く喜ばしいことであった。
  少年は彼女の胸に顔をうずめ、滑稽な仕種でもそもそと動き続けた。胸中から溢れんばかり
 の想いを、どのように処理したらいいのかがわからないのだろう。精液にぬるついた熱い陰茎
 が、性器といわず太腿といわず、あたりかまわずに押し付けられる。少年の顔と頭部に刺激を
 受けた乳房からは母乳が糸となって飛び散り、彼女は歓喜に震えてさらに強く少年を抱きしめ
 た。
 「あうう、入れたいよ…」
  少年が泣いた。
  彼女は股間に手をのばし、そっと陰茎を掴んだ。
 「ここ、わたしの恥ずかしくてきもちのいいあな…」
  自らのぬかるみに誘導すると、少年の腰が前進を開始した。
  ぬるる、と陰茎が埋没するまでの二秒間。
  信じられない熱を持った膿の中に陰茎を挿し入れたのではないかと思われた。
 「ひいい!?」
  悲鳴が漏れた。
 「大丈夫、こわくない、こわくないからね?」
  優しくあやし、彼女は少年の背を宥めた。
  束の間、少年はぴくりとも動かず、しかし次にはゆるゆると膣壁の柔らかさに影茎を擦りつ
 け始めた。彼女の緩い膣に少年の細い陰茎では互いに刺激を与え合うというわけにはいかなか
 ったが、ふっくらと充血した膣壁はそれでもやわやわと少年を包み込んでいたし、たっぷりと
 含まれていた愛液が間隙を満たし、ちゅぷん、ちゅぷん、と、愛らしくも滑稽な響きをもって
 刺激を補っていた。
 「おめでとう、これでおとなよ」
 「おとな…。ぼくが、おとな…」
 「そうよ、だってセックスしてるでしょう?」
 「セックス…。あったくてきもちいいっ! やさしい! やさしいよう!」
  突如として少年の動きが乱雑になった。まるで柔らかな彼女の肉体に全身を埋め込もうかと
 でもいうように、腰だけではなく身体中を弾ませてのたうちまわった。ぱふ、ぽふ、とその度
 に空気が流れ、彼女の甘い香りが漂った。
 「はあ、えっち…」
  彼女はうっとりと言った。幼い陰茎がにゅくにゅくと胎内を出入する感触は素晴らしいもの
 だった。もどかしいそれは子宮を収縮させ、意識もしていないのに肛門を開かせた。肉体的で
 はない精神的な性的快感。青春時代、悶々とする性欲を解消せんと耽った自慰。結婚してから
 のセックスでさえ決して満たされることのなかった精神に根付く青くて酸っぱい性欲が、この
 とき始めて満たされたような気がした。
  少年は成熟した身体に夢中になっていた。壊れやすそうな女体は、しかしどのような衝撃を
 も甘く吸収し、性器は限りない優しさをもって迎え入れてくれる。快楽を求めるのでは、ない。
 いまは一刻も早く精液を膣内に迸らせたかった。それが目的なのだと、彼は悟っていた。
  はあはあと必死に蠢く少年の掌と指が、でたらめな動きで乳房を揉んだ。ぴゅうぴゅうと勢
 いよく噴き出す母乳を顔に受け、口にしたならば何かの病原菌に感染するのではないかと思え
 るような醜い乳首に吸いついた。
 「もっとえっちにしていいのよ…」
  あふ、あふ、というと息の奥から彼女は言った。
  ちょろりと尿が漏れ、少年の股間を濡らす。
  恥ずかしい、とは思ったが、止められはしなかった。
  むず痒い快感は腰を満たして脊髄を掻き毟る。
  喉を鳴らして大量の母乳を飲んでいた少年が、涎を流しながら喚いた。
 「おしりのなかが痒いっ!」
 「いきそうなの? 出して、そうするととってもきもちいいから!」
 「痒い――痒い――痒い――きもちいいっ!?」
  少年の動きがぎくしゃくとしている。
  射精に対する反射運動が随意筋を麻痺させていた。
 「ふご、お――」
  篭った呻き声を漏らしたかと思うと、少年はがっしりと女体にしがみついて射精を行った。
 「おふ――ご――」
  びくくん、びくくん、と痙攣が走る。
 「出てるう…」
  膣内に熱感を覚えた刹那、彼女の腰は跳ねた。
 「あうああああうあうあ」
  白眼を剥いて情けのない悲鳴を上げ、彼女は脊髄が腐って流れ出て行くような、痒みを伴っ
 た快感に仰け反り、少年を載せたまま高々と腰を持ち上げて果てた。膣と陰茎の間からは、ち
 ゅるちゅると愛液が噴き出している。その間、ありうるはずのない内圧に押し出されるかのよ
 うに、母乳の噴出は止まらなかった。
  ぐったりと力が抜けて横たわったのは、延々五秒以上を経過してからであった。
  ぴくん、と痙攣が疾る度に、ぴゅるり、と母乳が噴き上がる。
  やがてその間隔が長くなり、最後にはじくじくと滲み出す母乳も底を尽いた。
  完全に身体を預けたままゆっくりとした呼吸を繰り返す少年の背を撫でていると、げふ、と
 いう母乳臭いおくびが漏れた。
  ぼんやりとその匂いを嗅ぎながら、彼女は隣室で我が子がむずがって泣いているのを聞いて
 いた。

 

                                      END  

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