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「さくらとえっちな夏休み」

 

 

 

  お部屋の中は、すっごく暑くなっていました。ドアを開けたとたんに、むわっ

 とした空気が、まるで驚かすみたいに飛び出てきたの。ううん、本当にドアの後

 ろに隠れてて、誰かがそこを開けるのをずっと待ってたみたいに。温められたも

 のは、大きくなるって聞いたことがあります。ひょっとしたらそのせいかも。と

 にかく、出かける時に閉め切ったままにしておいたのは失敗だったみたいです。

 「うわ、すっごいね。待ってて、いま窓開けるから」

  わたしはグラスをふたつ机に置いて、窓に飛びつきました。

  急いで鍵を外して窓を開けると──うにゃあ、あんまりかわんないよう。風が

 ちっとも吹いてないんだもん。

 「やっぱり知世ちゃんのお家に行ったほうがよかったかなあ。知世ちゃんのお部

 屋、クーラーあるもんね」

  振り向いていうと、

 「でも、やっぱり夏は暑いほうが夏らしくてよろしいですわ。それに、さくらち

 ゃんのお部屋、とっても居心地がいいですから」

  にこにこした知世ちゃんは、ちっとも汗をかいてないの。前に食べたことがあ

 る、和菓子みたいに半分透き通った真っ白なお顔は、なんだか冷たくて気持ちよ

 さそうです。わたしなんか汗びっしょりなのに。

 「どうかしましたか?」

 「ううん、なんでもない」

  ちょっと慌てて、わたしは知世ちゃんに座ってもらいました。グラスを持って

 わたしも座ります。知世ちゃんにはクッションに座ってもらったけど、わたしは

 そのまま床の上にです。小さなカーペットの下はすぐに板張りだからちょっと痛

 いけど、だって暑くて仕方がないんだもん。

  知世ちゃんの持ってきてくれたトレイのお菓子を食べながら、ちょっと足の指

 を揉みます。今日は一日たくさん歩いたので、少しだけ痛いの。でも、ほんとに

 少しだけだよ?

 「疲れましたか?」

 「うん、ちょっとね。でも楽しかったねぇ」

 「さくらちゃんは、ペンギンさんがお気に入りみたいでしたね」

 「うんうん」

  わたしは何度も頷きました。だって思い出しただけで嬉しくなっちゃうくらい

 に可愛かったんだよ?

 「でも、こんなに暑いとちょっとかわいそうだよね」

 「そうですわね。でも、暖かいところに棲んでいるペンギンもいるそうですよ?」

 「ほえ?」

  ペンギンさんって、たしか南極とか北極とか、寒いところにいるんじゃなかっ

 たっけ? あれ? 北極にはいないんだっけ?

  悩んでいると、

 「ええと、たしかガラパゴス諸島にいるそうですわ」

  知世ちゃんが顎に指を当てて、そう教えてくれました。

 「ガラパゴス……って、どこにあるの?」

 「詳しいことはわかりませんけど、赤道の近くらしいです」

 「へえ、ペンギンさんもいろいろいるんだねえ。じゃあ、動物園にいたペンギン

 さんも?」

 「いえ、あれはまた別の種類らしいですけど……」

 「ふうん。こんど雪兎さんに聞いてみようかなあ」

  いいながら、わたしはたぶん、にこにこしていたはずです。今日は雪兎さんと

 ずっと一緒にいられたし、たくさんお話も出来たし、もうはにゃ~んってかんじ

 です。

  気がつくと、知世ちゃんがくすくす笑っていました。

 「ど、どうしたの?」

  そう聞いたんだけど、知世ちゃんはただ笑うだけです。

  それでも少ししてから、

 「いえ、さくらちゃんが楽しかったのは、ペンギンさんだけのせいじゃないみた

 いだなって思ってましたの」

 「え? え?」

 「さくらちゃん、お顔が真っ赤ですわよ?」

 「あう──」

  慌ててほっぺたに手をあてたら、そこはとっても熱くなっていました。

  わたしは恥ずかしくなって、

 「も、もう!」

  と睨みます。

  知世ちゃんはすぐに謝って、

 「桃矢さんもご一緒できたらよろしかったですのに」

  といいました。う、なんだかごまかされたような気がするよう。

  わたしはオレンジジュースを一気に飲んで、大きく息をつきます。

 「おにいちゃん、夏休みに入ってからは毎日アルバイトに行ってるから」

 「大変ですわね」

 「何か欲しいものでもあるのかな?」

 「さくらちゃんにプレゼントを差し上げようとしているんじゃありませんこと?」

 「そんなことないよう」

  ぶんぶんと首をふって、

 「おにいちゃん、いっつもわたしのこと怪獣怪獣っていじめるんだよ?」

 「きっとさくらちゃんと遊びたいんですわ」

 「まさか。おにいちゃんも雪兎さんくらい優しかったらよかったのになあ──」

  固まってしまいました。そっと知世ちゃんを見たら、下を向いて笑うのを我慢

 しています。──どうしてさくらって、こうおっちょこちょいなんだろう?

  うーっとうなって頭を抱えてたら、知世ちゃんがぽん、と掌を打って、思い出

 したようにいいました。

 「そうですわ。今日撮ったビデオをご覧になりますか?」

 「ビデオ?」

  知世ちゃんはいつも持っているビデオカメラを、やっぱり今日も持ってきてい

 ました。ひょっとすると、せっかく動物園に行ったのに、そっちの方ばかり見て

 いたかもしれません。

 「はい。月城さんも写っていますから」

 「うう……」

  からかうようにいわれたので恥ずかしかったけど、それはちょっと観てみたい

 かも……。

  そんなことを考えていたら、知世ちゃんは何もいわないうちに鞄をごそごそや

 り始めていました。

  取り出したのは、銀色の小さなビデオカメラ。ええと、たしかデジタルビデオ

 カメラとかいうやつだったかな? 横についている小さなテレビで、すぐに撮っ

 たものを観られるようになっている最新型──とかなんとか説明してもらったこ

 とがあるけど、詳しいことは忘れちゃった。

 「ほら、綺麗に撮れてますよ」

  上手にボタンを押していた知世ちゃんがいったので、わたしも知世ちゃんの隣

 に座ってテレビを覗きます。

  小さなテレビには、でも、わたししか写ってないの。白と青の縞模様のTシャ

 ツと、ぴんく色のミニスカート。それはいまも着ているけれど、はしゃぎながら

 ライオンさんを指さしている自分を観るのは、ちょっとヘンなかんじ。

 「さくらちゃん、とっても可愛いですわ」

 「そ、そかな?」

  うう、そんなに真面目にいわれても……。

  それからしばらくは、ずっとわたしだけが写ってました。キリンさん、シマウ

 マさん、それから、ええと、なんだっけ、この動物さん? とにかく知世ちゃん

 ったら、ずっと動物さんを見てるわたしを撮ってたみたいです。

  知世ちゃんの趣味はビデオやカメラを撮ることで、それは、まあべつにいいん

 だけど、どうしてわたしばっかり撮りたがるのかがよくわかりません。前にきい

 たときには、さくらちゃんくらいかわいくて面白いものは他にないっていってた

 けど、だからって、ねえ? そりゃあ悪い気はしないけど、やっぱり恥ずかしい

 よう。

 「あ……」

  思わずそういっちゃった。だって画面のはしっこに、雪兎さんが写ってたんだ

 もん。

  知世ちゃんはちょっと笑って、それからは雪兎さんの写ってるところだけを選

 んで観せてくれました。

  でも、あんまりちゃんと写ってなくて、ちょっとがっかり。だって雪兎さんが

 写ってるのって、ほとんどわたしの影に、ちらっと見えてるくらいだけだったか

 ら。しかも雪兎さん、そのたびに何かを食べてるの。アイスクリームに、ホット

 ドッグに、フランクフルト。

  う~ん。思い返してみると、雪兎さんは動物さんよりも、売店ばっかり気にし

 てたような気が……。わたしは雪兎さんと一緒にいられるのが嬉しくて、あんま

 り気にしてなかったけど。あんなにスマートなのに、どうして? ってくらい雪

 兎さんがいっぱい食べるってことも知ってたしね。

  でもでも、おいしそうにいろんなものを食べてる雪兎さんって、なんだかとっ

 てもかわいいの。いっしょうけんめいポップコーンを食べてるところなんて、あ

 たしまで嬉しくなっちゃうくらいの食べっぷり。あんまりいっしょうけんめいに

 なりすぎて、メガネが落ちそうになっちゃって。笑いながらそれをおさえるとこ

 なんか、もう最高です。優しくって、なんでも出来て、それからいろんなことを

 知っていて。それなのにこんなに嬉しそうにポップコーンを食べられる雪兎さん

 は、やっぱりとってもステキです。

 「さくらちゃん」

 「──え?」

  ぼーっとしてたら肩をつつかれました。

 「今日のベストショットですわ」

 「ベストショット?」

  見ると、そこにはわたしの後ろ姿がありました。ちょっとカメラのほうに顔を

 向けて、それから勢い良く駆け出したところ。わたしとカメラの間には、雪兎さ

 んの後ろ姿も写ってる。ええと、あの柵の向こうは……そうだ、ペンギンさんの

 いたところ! そうそう、わたし、ペンギンさんを見つけて、嬉しくて走って行

 ったんだっけ。

  でも、どうしてこれがベストショットなんだろう?

  そう思った途端に、

 「ほら、ここですわ!」

  知世ちゃんが嬉しそうにいったんです。

  慌てて画面を観て、わたしはあっと驚きました。だってだって、走ってるあた

 しのスカートがひらりとめくれて、パ、パンツが見えちゃってるんだよ? しか

 もしかも、その後ろには雪兎さんが──。

 「ほ、ほええええええっ!?」

  お部屋の中に、わたしの悲鳴が響きわたりました。

 

 

 

  どど、どうしよう、ちっとも気づかなかった。あ、でもでも、スカートがめく

 れたのはちょっとだけだし、雪兎さんも気づかなかったかも。ううん、それでも

 もしかしたら見られちゃったかも……。あうう、あたまの中がまっしろけだよう。

 「ひ、ひどいよ知世ちゃん! こんなところ撮るなんて!」

 「あら」

  知世ちゃんは相変わらず楽しそうに、けろっとしてます。

 「これは偶然ですわ。たまたまさくらちゃんのスカートがめくれたんですのよ?」

 「そ、それにしたって……」

 「いいじゃありませんか。元気なさくらちゃん、とっても素敵ですわ……」

  う、うっとりしてるぅ!?

  はにゃ~。知世ちゃん、自分の世界に入っちゃったよう。もうこうなると、何

 をいっても聞いてくれそうにありません。優しくて、お勉強も出来て、お金持ち

 のお家のお嬢様で、綺麗で、それからとっても楽しい仲のいいお友達だけど、こ

 ればっかりは困りものです。

  と、思ってたら、知世ちゃんは突然こっちの世界に帰ってきました。

 「それに、ほら、見て下さい」

 「も、もういいよう!」

  ビデオに手を延ばしたけど、結局わたしは何も出来ませんでした。使い方がわ

 からないんだもん。

  そうしているうちに、知世ちゃんは巻き戻した画を再生してみせます。

  恥ずかしくて、両手で顔を隠しちゃいました。でも、指の隙間からしっかりと

 画面を観ていたさくらです。

  再生が終わると、知世ちゃんがそっとこっちを見たのが、シャンプーの匂いで

 わかりました。

 「おわかりになりましたか?」

 「…………」

  心臓がものすごくドキドキしてる。なんだか首がぞくぞくして、わたしは声も

 出せなかったの。

 「月城さん、しっかりさくらちゃんを見ていましたわ」

  知世ちゃんの声が、あたまの中に響きます。何も考えられなかったけど、そう

 いわれると、どうしてもいま観たばかりの画を思い出してしまいます。

  わたしが走って、スカートがめくれて、パンツが見えて──雪兎さんのあたま

 がぴくって動いて……。後ろ姿しか写ってないから、雪兎さんのお顔は見えなか

 った。けど、絶対に見られちゃったのは間違いない。

  わたしはどうしようもなくなって、がばりとその場に顔を伏せちゃった。

 「ふええ、どうしよう……見られちゃった……は、恥ずかしいよう……」

  背中を、何かが優しく撫でてくれました。

 「そんなに気にすることはありませんわ、さくらちゃん」

 「無理だよう、そんなの……」

 「でも、もし月城さんが見てなかったとしたらどうです?」

 「だって見てたもん!」

  おっきな声でいって、わたしはたぶん泣きそうな顔で起き上がりました。

  そしたら知世ちゃん、首を傾げてにっこりしたの。

 「もしさくらちゃんのスカートがめくれて、それでも月城さんがそれを見なかっ

 たら、悲しくありませんこと?」

 「ど、どうして?」

  わけがわからなくて聞くと、知世ちゃんは、

 「じゃあ、逆に考えてみて下さい。さくらちゃん、いまちょっぴり嬉しくありま

 せんか?」

  っていったんです。

  そんなわけないよ、といおうとして、でもわたしはちょっと考えました。そし

 たら、なんでだろう。ひょっとしたら嬉しいのかもって思えてきたんです。なん

 だかおなかの中がむずむずして、くすぐったいかんじの嬉しさです。ううん、そ

 れがほんとうに嬉しいのかどうかはわからないけど、いやなかんじじゃないみた

 い。

 「どうです?」

 「うん……ええと……わかんないよう……」

  くすりと笑って、

 「良かったじゃありませんか。月城さん、さくらちゃんのことを女の子として見

 てくれたんですから」

  あうっ……。た、確かにわたし、いっつも動き回ってるような気がするし、髪

 も短いし、すぐに怒っちゃうし、おしとやかじゃないし、だからおにいちゃんに

 は怪獣っていわれるし……。それでも雪兎さんの前では、がんばって女の子らし

 くしてたんだけど……。

  知世ちゃんは、腰まであるような長い髪がとってもすてき。途中から柔らかそ

 うに波うったところも、きれいに揃えた前髪も、すごく女の子らしいの。いっつ

 も優しそうなお顔には、なんだか何でも知ってるみたいな目と細いお鼻と、それ

 から小さなお口がついていて、ちょっと太い眉毛も、でもきりっとしてて、描い

 てあるみたいにすっきりしてる。

  わたしも知世ちゃんみたいになりたいなって、真似しようと思ったこともあり

 ます。でもわたしの髪ってちょっとクセっ毛で、だから短くしてないと不便だし。

 おとうさんは、わたしの髪はおかあさんに似ているっていうの。だからそれは嬉

 しいんだけど、両側の髪を小さく纏めておかないと、すぐにぐしゃぐしゃになっ

 ちゃうくらい。顔だって、きっと知世ちゃんみたいに大人っぽくはないんだろう

 な。

  知世ちゃんはそんなわたしのことを、とっても元気があって可愛いとか、軽い

 髪がうらやましいとかいってくれます。でも、知世ちゃんみたいな女の子にそん

 なことをいわれると、かえって気にしちゃうんです。

 「……わたし、そんなに男の子みたいに見える?」

 「いいえ、さくらちゃんはとっても素敵な女の子ですわ」

 「ほえ? わけわかんないよ、知世ちゃん……」

 「ですから、月城さんは、さくらちゃんを、女の子として、見ているんですわ」

  ゆっくりといって、知世ちゃんは口を閉じました。

  わたしはほんとにわけがわからなくて、ぽけえっとしてるだけ。

  そしたら知世ちゃん、

 「月城さん、今日のさくらちゃんのお洋服、可愛いって褒めてましたよ」

  っていってくれた。

 「ほ、ほんとに?」

  自分でも単純だなって思うけど、嬉しいんだから仕方ありません。わたしはつ

 いおおきな声を出しちゃった。

 「ええ。つまりそういうことですわ。月城さんは、さくらちゃんをしっかりひと

 りの女の子として見ているんです。もちろん、高校二年生と小学四年生ですから、

 歳の差とか、そういったことを考えた上での意味で、だとは思いますけれど」

  知世ちゃんがそんなことをいってるけど、わたしにはむつかしくてよくわかり

 ません。それよりも、雪兎さんがお洋服を褒めてくれたというのが嬉しくて、あ

 っつくなったほっぺたをおさえるのにいそがしかったの。

  もともと知世ちゃんとふたりで動物園に行こうってことになったときに、ふた

 りだけじゃ心配だからって、仕事でいそがしいお父さんが、保護者のかわりにっ

 て雪兎さんにお願いしてくれて、それで今日は三人でお出かけできたんです。

  もちろん知世ちゃんとお出かけできるだけでも嬉しいけど、雪兎さんがくると

 なれば、って、わたしはいっしょうけんめい着ていくお洋服を選びました。出か

 ける前に、何度も鏡を見て選んだの。だから、それを褒めてもらえるなんて、も

 う最高の気分です。

  はにゃ~。どうしよう。どうしても顔が笑っちゃうよう。

  わたしがそうやってテレテレしてたら、

 「さくらちゃん、本当に月城さんがお好きなんですわね……」

  静かに知世ちゃんそういったの。

  わたしは、じっと知世ちゃんを見つめてしまいました。それは知世ちゃんの声

 がすごく優しかったのと、それをものすごく真面目にいってるんだなってわかる

 くらい真剣に聞こえたからです。

  知世ちゃんも、じっとわたしを見ています。

  なんだか恥ずかしくなったわたしは、

 「あう──」

  といったきり、固まってしまいました。

  そしたら、知世ちゃんはちょっと何かを考えて、すぐにいったんです。

 「さくらちゃん、さっき桃矢さんも月城さんくらい優しければっておっしゃいま

 したよね?」

 「う、うん」

 「それはつまり、どういうことですの?」

  ほえ? どういうことって、どういうことだろう? なんだか今日の知世ちゃ

 んは、わけのわからないことばっかりいうみたい。

  ぽかんとしたわたしにおかまいなく、知世ちゃんは続けます。

 「たとえば、月城さんがさくらちゃんのお兄さまだったとしたらどうですか?」

 「そ、それは嬉しいよ。だって雪兎さん優しいし、いっつもいっしょにいられる

 し」

  ちょっと考えただけでも楽しそう。おにいちゃんには悪いけど、朝起きたら優

 しい声でおはようっていってくれて、寝るときにはおやすみって……。うう、嬉

 しすぎるよ、それって。

 「でも──」

  知世ちゃんの声にわたしははっとしちゃった。自分の世界に入っちゃうのは知

 世ちゃんだけじゃないみたい。

 「それで本当によろしいんですの?」

 「え? どうして?」

 「月城さんと兄妹になってしまったら、結婚出来ませんよ」

 「けっ──」

  びっくり。わたしは間違いなく、いままででいちばん真っ赤になってるはずで

 す。

  慌てて手を振って、

 「ややや、やだなあ知世ちゃん! そんな……け、結婚だなんて……」

 「したくありませんの?」

 「あや、えっと、そういうわけじゃなくって、うう、よくわかんないよう」

  しどろもどろ。

  知世ちゃんはそんなわたしをみて、なんだか困ったような顔をしました。困っ

 てるのはわたしのほうなのに。

 「仕方ありませんわね」

  いって、知世ちゃんは笑った。

 「どうやらさくらちゃんは、好きという気持ちがよくわかってらっしゃらないよ

 うですわ」

 「え──?」

 「さくらちゃんの好き、は、お兄さまが好きなのも、月城さんが好きなのも、ど

 ちらも同じ、好き、なんです」

 「ええ? そ、それはおにいちゃんも雪兎さんも好きだけど……。や、やっぱり

 全然わかんないよう!」

  ずいっと知世ちゃんがお顔を近づけてきました。

 「ですから、ふたつの好き、の違いを、私が教えて差し上げますわ」

 

 

 

  あやや、と、思う間もなく、知世ちゃんがそっとわたしを抱きしめた。ふんわ

 りしたいい匂いがして、知世ちゃんの着ている白いサマードレスが、さらさらし

 てるのがわかった。

  あう、や、やっぱり今日の知世ちゃん、どっかヘンだよう。

  でも、わたしは知世ちゃんを押し退けられなかったの。だってなんだか、そん

 なことしたら悪いような気がしたから。

 「と、知世ちゃん?」

 「じっとしてて下さいな」

 「うう、どうしちゃったの、知世ちゃん?」

  背中と、それからあたまを知世ちゃんが撫でてくれる。とっても優しいかんじ。

 「私は、さくらちゃんのことが好きです。でもそれは、私が私の家族を好きだと

 思うのとは違うし、さくらちゃんは気づいていませんけれど、さくらちゃんが月

 城さんのことを好きだと思うのとも、少し違います」

  やわらかい声。いつもの知世ちゃんの声だけど、なんとなく違うようにも聞こ

 える声が、すぐ耳元で流れてる。

 「わ、わたしも知世ちゃんのこと、好きだよ?」

 「ありがとうございます。でも、それもきっと、私がさくらちゃんを好きなのと

 は、少し違う好き、だと思いますわ。私のさくらちゃんを好きだと思う気持ちは、

 ふたつの好きの真ん中にある好き、なんです。もしそれが最初の好き、なら、こ

 んなことは致しません。それとは反対の好き、なら、さくらちゃんが月城さんを

 お好きなるのを許せないでしょうね。でも、私の好き、は、私だけの好き、なん

 です。だから、さくらちゃんには、幸せになって頂きたいんです」

  ふええ? 好きがいっぱいあって、あっちとこっちで好きで、真ん中にも好き

 があって、あっちとこっちは違うし、真ん中のも違って、知世ちゃんの好きはあ

 たしの好きとは違うけど、でもわたしのこと好きで、だから幸せになってもらい

 たい? うう、目がまわるよう……。

  わたしはいっしょうけんめいになって考えたけど、やっぱり全然わかりません。

 ただ、知世ちゃんがわたしのことを好きでいてくれて、何かいっしょうけんめい

 になって教えようとしてくれていることだけは、なんとなくわかります。

  でも──。

 「い、いまのお話と、こうやってることって、何か関係があるの?」

  です。べつにいやじゃないけれど、わたし、汗いっぱいかいてて、ちょっとそ

 れが恥ずかしいんです。

  そしたら知世ちゃんが、もっとわたしを恥ずかしくさせるようなことをいった

 の。

 「さくらちゃんの背中……汗でしっとりしてますわ……」

 「あっ!?」

  急いではなれようとしたけど、知世ちゃんははなしてくれません。

  何度も何度も背中を撫でて、シャツをぺたぺた触ります。そのたびに冷たくな

 ったシャツが背中にはりついて、ちょっときもちわるい。

 「と、知世ちゃん──」

 「シャツが冷たくなってますわ……」

 「きたないよ、やめてよ!」

 「さくらちゃんの汗は、汚くなんてありませんことよ」

 「あやっ!?」

  かあっと、ほっぺたがあっつくなりました。おなかの中がぞくぞくして、なん

 だかおトイレに行きたいみたいなかんじ。だって、知世ちゃんったら、すうって

 おおきく匂いを嗅ぐんだもん。

 「いい匂い……甘い薫りですね……」

 「やっ──は、恥ずかしいよう……」

  そう思ったのに、わたしはなぜか知世ちゃんに、ぎゅうっとしがみついていま

 した。なんだかそうしてないと、からだが震えて、どこかに落ちちゃうみたいな

 気がしたからかもしれません。むねがあわさって、知世ちゃんの息を吸うかんじ

 がつたわってきます。それから──すごい、知世ちゃんの心臓が、とくとくとく

 とくって、ものすごく早く動いてる。

  でも、耳元でしゃべる知世ちゃんの声は、ぜんぜん落ちついてた。

 「さくらちゃん、えっちなこと、してみたいと思ったことはありません?」

 「え、えっちなこと?」

 「そうですわ」

  うあ──あったかくてしめった息が、耳のなかをぬるぬるくすぐってく。きっ

 と舌の音だと思うけど、知世ちゃんの声にあわせて、ぴちゃぴちゃ小さな音がす

 る。なんだかわかんないけど、またおなかのなかがぞくぞくした。

 「えっちなことって、男の子がいやらしいことすること?」

 「そうですけれど、それだけじゃありません」

 「べ、べつにしたくないよ……」

 「そうですか?」

 「だってわたし……女の子だもん……」

 「あら──」

  知世ちゃん、くすくす笑ってる。

 「女の子だって、えっちなこと、したくなるんですのよ?」

 「うう……よ、よくわかんない……」

 「私は、時々すごくえっちなことがしたくなるんです」

 「ど、どうして?」

  驚いちゃった。だって、知世ちゃんがそんな……いやらしいこと……。あんな

 の、だっていやだよ。えっちなことって、男の子にはだかを見られちゃうし、そ

 れから、それから……とにかくわかんないけど、すっごく恥ずかしそうだもん。

  知世ちゃんは、今度はわたしのほっぺたに、じぶんのほっぺたをくっつけてき

 た。ふにっとしてて、思ったとおりに冷たくてきもちがいいの。なんだかぺった

 りすいついてくるみたい。でも、すごくくすぐったい。わたしは首を縮めて、へ

 んな声を出しちゃった。

  笑われるかなって思ったけど、知世ちゃんはただほっぺたをこすりつけてきな

 がら、

 「それは、えっちなことをすると、すごく気持ちがいいからですわ」

  って、うっとりした声でいったの。

 「きもち、いい? えっちなことって、きもちいいの?」

 「はい。でも、きっとさくらちゃんの知っている気持ちよさとは違います」

 「ほえ?」

  好きだけじゃなくて、きもちいいのにもいっぱいあるの? わたしはもうさっ

 ぱりです。でも、おなじ痛いってかんじにも、頭が痛いのとか、おなかが痛いの

 とかいっぱいあるし、なんとなくわかるような気はするけど……。

 「でも、それだけじゃないんです」

  知世ちゃんがいった。

 「気持ちがいいからえっちなことをしたいのではなくて、えっちなことをすると

 気持ちがいいんです。つまり、気持ちがいいのはおまけみたいなものなんですわ」

 「……ええっと」

 「わかりませんか?」

 「うん、さっぱり……」

 「つまり、それが好きってことなんですのよ」

  きっぱりと、知世ちゃんはそういった。けど、わたしにはぜんぜんわからない。

 さっきからわかんないことばっかりで、もうどうしたらいいのか、ほんとにわか

 んなくなっちゃった。

  でもでも、ほんとはわたし、気になることがあったんです。

  恥ずかしかったけど、思い切って、

 「あの、知世ちゃん……」

 「はい?」

 「知世ちゃん……その……だ、だれかとえっちなこと、してるの?」

  そう聞くと、知世ちゃんは少しからだをはなして、わたしの目をまっすぐにみ

 つめた。

 「いいえ、してません」

 「ほえ? で、でも──」

 「ですから、私はひとりでしているんです」

 「ひとり?」

  うわ、にっこり笑った知世ちゃん、すごく大人っぽい……。

 「そうですわ。自慰、っていいますの」

 「じい……?」

  じい、って、なんだろう? またわたしの知らない言葉。

 「自分で慰めるという意味の言葉です。切ない言葉ですわね」

  知世ちゃんが教えてくれた。

 「なぐさめるって?」

 「簡単に言えば、欲しい物が手に入らない寂しさを、おまけで慰めるんです」

 「おまけって……きもちいいこと?」

 「そうですわ」

 「ど、どうやって?」

 「そうですわね……」

  知世ちゃん、やっとわたしをはなしてくれた。なんだか力が抜けちゃって、あ

 たしはへにゃって床に手をついちゃった。

 「女の子の大事なところを触るのが、一番簡単なやり方です」

 「……ええっ!?」

  びっくりして、ちょっと後ろにさがっちゃった。

  ええと、大事なところって、やっぱりあそこ……だよね? そ、そんなところ

 を触るときもちいいの? ううん、だって汚いよ、そんなところ。それなのに知

 世ちゃんったら、へいきな顔でそんなこというんだもん。

  どきどきしながら考えてたら、知世ちゃんが笑った。

 「そんなに驚くことはありませんわ。女の子のからだは、とっても気持ちがよく

 なるように出来てますから。おっぱいなんかも、触ると気持ちいいんですよ?」

 「ふええ……」

  もうわたしは何もいえませんでした。ぽかんとして、それでもちらちら知世ち

 ゃんを見るだけで精一杯です。

  わたしが見てたのは、知世ちゃんの胸と、それから……スカートのところです。

 知世ちゃんがひとりでそこを触ってるなんて、想像もできない──っていうより、

 どうやってさわるのかがわからないから、想像しようとしてもできないんだけど。

  あ、知世ちゃんと目があっちゃった。うう……わたしが見てたこと、きっとわ

 かっちゃっただろうなあ。

 「さくらちゃんも、してみてはいかがですか?」

 「ええっ!?」

 「とってもいい気持ちですわよ」

 「い、いいよう……」

 「おっぱいを触るくらいなら、初心者でも簡単ですし」

 「だ、だってわたし、まだおっぱいなんてないもん……」

 「別に膨らんでいなくてもいいんです。乳首があれば」

 「うう……」

  ち、ちくびって……なんかすごくいやらしいいいかた……。知世ちゃんの声で

 いわれちゃうと、とっても恥ずかしい。

  照れてたら、いつのまにか知世ちゃんが座ったまま近づいてきてた。いい匂い

 がしたから、わたしはそれに気づいたの。

  知世ちゃん、わたしの肩に手をおいた。

 「わかりました。私がして差し上げますわね」

 「ほ、ほええっ!?」

 

 

 

 「ちょ──と、知世ちゃん……やめてよ……」

 「なぜですか?」

 「は、恥ずかしいもん!」

 「なぜ、恥ずかしいんですの?」

 「なんでって……恥ずかしいから恥ずかしいの!」

 「いい兆候ですわ」

 「な、なにそれえ?」

 「恥ずかしいのは、さくらちゃんが大人になっている証拠です」

 「ふええ……知世ちゃんのいってること、さっぱりわかんないよう……」

 「ですから、それを教えて差し上げます」

  じたばたもがいているうちに、いちのまにか、知世ちゃんはわたしを背中から

 抱きしめてしまいました。もうこうなっちゃったら、わたしはあばれられません。

 だってそんなことしたら、あたまが当たったりして、知世ちゃんを痛くしちゃう

 もん……。

 「ひゃっ──」

  びくって、背中が動いちゃった。知世ちゃんが腋の下から手を延ばして、むね

 に触ったから。すごくくすぐったくて、とっても恥ずかしい。なんだかどきどき

 して、わたし、すごく緊張してるみたい。

  くすぐったいよ、っていったんだけど、知世ちゃんはやめてくれなかった。掌

 をむねにかぶせて、ふわふわと揉んでるの。わたし、ほんとにまだおっぱいなん

 てちっとも膨らんでないのに。

 「うう……」

 「気持ち、いいですか?」

 「わかんないよ……恥ずかしいだけだよう……」

 「その、恥ずかしい気持ち、なんだかいつもとは違う恥ずかしさでは?」

  いわれて、わたしは考えた。そういわれてみると、なんだかちょっと違うみた

 い。

 「う、うん……」

 「それは、恥ずかしいんじゃなくて、えっちな気持ちなんです」

 「えっちな……?」

  なんかわたしの声、ぼんやりしてる。むねがもやもやして、おなかの中がとろ

 とろしてる。いつもの恥ずかしいって思う気持ちは、泣きたいような、とっても

 いやなかんじがしてた。いままで、きっとこれがえっちな気持なんだろうなって

 思ってたのは、いやらしいっていうか、なんだかきたないものに触っちゃったよ

 うなかんじがしてたけど、これは、なんか違う。

 「そうですわ。もっとはっきり感じさせて差し上げます」

 「やはっ──」

  ぶるる、って、震えた。知世ちゃんがひとさしゆびで、わたしの……ち、ちく

 びをくりくりしてる。シャツの上から、ぽちってなってるところを、やさしくい

 たずらするの。

  びっくりしちゃった。なんだかそうされると、おっぱいのあたりがきゅうきゅ

 うするの。ぞくぞくしたかんじがじわーってしみこんで、おなかの下のところに

 あつまってくる。うう、なんだか声が出ちゃうよぉ。

 「や、と、知世ちゃん……へんだよう……」

 「さくらちゃんの声、とってもえっちになってますわ……」

 「ふええ……おっぱいがこりこりしてきちゃう……」

 「勃起、っていいますの。ほら、乳首が固くなってきてますわよ」

 「ぼっき……? ど、どうして……?」

 「気持ちがよくなっている証拠です」

  はあって、ためいきをついた。このかんじが、きもちがいいってことなのかな

 って思ったら、ほんとにそう思えてきたの。知世ちゃんがいってたみたいに、あ

 たしの知ってたきもちよさとは違うきもちよさ。むずむずしちゃう、とってもえ

 っちなきもちよさ。

 「うう……はぁ……」

  わたしのからだが、くねくねしてるのがわかりました。自然にそうなっちゃう

 んです。目がとろんとしてきて、口がひらいちゃって、動いてもいないのに息が

 早くなってる。あっつくて、そこらじゅうから汗が出てくるの。

  知世ちゃんがいってた、ぼっきのせいかな。ちくびがこりこりして、さっきよ

 りきもち、いいの。ほそいゆびが動くと、ちくびがつられて右へ行ったり左へ行

 ったり。じんじんして、えっちなきもちがどんどんたまってくるみたい。

 「知世ちゃあん……きもち、いいよう……」

 「よかったですわね」

 「うん……なんか、もっとしてほしいみたい……」

  あ、よだれが出てきちゃった。でも、それを止めようとも思えない。とろって

 おちて、知世ちゃんの手についちゃった。

 「さくらちゃん、とってもえっちですわ……あ……」

 「知世ちゃん……?」

  知世ちゃんが、ふんふんって、鼻から息をしはじめた。そしたらなんだかおし

 りのところがごそごそするの。なんだろう、って振り向こうとしたけど、見えま

 せん。

 「知世ちゃん、なにしてるの?」

 「さくらちゃんのおしりに……おまんこを擦り付けてるんです……わ……」

 「あう……」

  きゅっとして、またよだれがおちゃった。おまんこって、女の子の大事なとこ

 ろのいやらしい呼び方だって、知ってる。でも、いまはいやらしくないの。えっ

 ちなの。

 「すみません……あふ……さ、さくらちゃんの乳首を触ってたら、我慢出来なく

 なってしまって……あ……」

  知世ちゃんは、いっしょうけんめいわたしのおしりにこすりつけてるみたい。

 「知世ちゃん、きもちいいの?」

 「はい……うっとりしてしまいますわ……」

 「……いいよ、もっとわたしのおしりつかっても」

 「嬉しい……あう……おまんこ……おまんこ溶けそうですわ……」

  それから、ふたりともはあはあいって、もぞもぞ動きました。わたしは、すっ

 ごくえっちなきもちになっちゃって、もうくたくたです。だってちくびのきもち

 いいのがおなかの中にたまって、なんだかそれがおしっこになって出てきそうな

 かんじがするんだもん。

 「さくらちゃん……さくら……ちゃんっ!」

 「知世ちゃあん……もっと、もっとじい、してぇ……」

  そのうちに、わたしは泣いてました。だって、もうどうしたらいいのかわから

 なかったんだもん。

 「どうしよう……どうしよう知世ちゃん……ひっく……」

 「ど、どうしたんですか?」

 「えっちなのが……いっぱい……これ、どうしよう?」

 「もっと気持ち良くなりたいんです……の?」

 「ふええっ……このきもち、どうしたらいいのかわかんないよう!」

  えっちなきもちが、おなかの中でふくれあがって、きもちわるいくらいなんで

 す。吐いちゃいそうなくらい。なんだかきもちいいのが爆発して、すごくきもち

 よくなりそうな気がするんだけど、どうしても爆発しないの。口の中がむずむず

 して、よだれがいっぱい出てきちゃう。

 「さくらちゃん……」

  知世ちゃんがおしりを止めて、やさしくいってくれました。

 「大丈夫です。ちゃんとしてあげますから」

 「ほんとに? ほんとにしてくれる?」

 「安心して下さいな」

  それから、

 「さくらちゃん、ご自分の舌の先で、上顎のへこんでいるところを舐めてみて下

 さい。きもちいいですから」

  って知世ちゃんはいった。

 「うん……」

  いわれた通りにしてみた。

 「ひゃふ……」

  わたしはぞくっとして、そこをなんどもなんどもぺろぺろ舐めちゃった。くす

 ぐったくて、きもちよくて、やめたいんだけどやめられないの。

  ほっぺたに息がかかったから、ちょっと振り向いてみた。

 「さくらちゃん……」

  肩の後ろから、知世ちゃんがお顔を出してた。

 「知世ちゃん……」

  わたしは、知世ちゃんのくちびるに、ちゅうってキスをしちゃった。

 「んふ……」

  知世ちゃんがうめいた。

  知世ちゃんのくちびるはぷりぷりしてて、ちょっと冷たかった。そしたらそこ

 からぬるぬるした舌が出てきて、わたしのおくちの中に入ってきたの。知世ちゃ

 んのよだれもいっしょにはいってきたけど、全然いやじゃない。さっき食べたお

 かしの、甘いチョコレートの味と匂いがした。

 「うひゅ……ん……」

  知世ちゃんが、わたしのおくちの中の上のところ……ええっと、うわあごを舐

 めてくれたので、わたしは、恥ずかしいんだけど、ちょっとおしっこを漏らしち

 ゃったかもしれません。おまんこのところが、ちゅってあったかくなった。だっ

 てそのくらいきもちよかったんだもん。なんだか優しいえっちがいっぱいってか

 んじ。

  おかえしをしてあげたかったんだけど、わたしの舌は短いみたいで、知世ちゃ

 んのおくちの中まではとどかなかった。だから、かわりに知世ちゃんの舌を舐め

 てあげたの。

 「しゃくらしゃん……」

 「ひょもよひゃん……」

  ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃ。いつのまにか、わたしと知世ちゃんは、キスをやめ

 て、ただ舌だけを舐めあってた。ふたりぶんのいっぱいのよだれがおちて、もう

 わたしのシャツはべとべとです。

  おくちのまわりをべとべとにしながら舌をひっこめたわたしは、おくちの中に

 たまってたよだれを、ごくん、って飲み込んだ。なんだか知世ちゃんと、すっご

 くくっついたみたいな、嬉しいきもち。

  そしたら知世ちゃん、わたしののどに耳をくっつけていったの。

 「もう一度……」

  わたしは、もう一度飲み込んだ。

 「かわいい音ですわ……」

  知世ちゃんは嬉しそう。

  わたしも知世ちゃんののどに耳をつけて、おねがいしてみた。

  そしたら、知世ちゃんののどの中で何かが動いて、こきゅっていい音がしてき

 た。知世ちゃんは何度もそれを聞かせてくれたの。とってもいいきもち。なんだ

 かわたしが知世ちゃんに飲み込まれちゃったみたいなかんじがした。

 

 

 

  ぽーっとしてたら、いつの間にか服を脱ぎ始めてた。なんだかこれからえっち

 なことをするんだなあって、どきどきする。すぐにパンツだけ残して裸になって、

 知世ちゃんと向かい合って座って見つめあっちゃった。

  知世ちゃんはとろっとした目をきらきらさせて、じっとわたしのむねを見てる

 みたいです。むずむずして、それだけでちくびがきもちいい。知世ちゃんのお顔

 は、すごくえっちに見えた。わたしもほっぺたに力が入ってないから、きっとえ

 っちな顔をしてると思う。

  ゆっくりと、でもちょっとだけ早く動いている知世ちゃんの胸は、ほんとにま

 っしろで綺麗です。おっぱいはやっぱりふくらんでないけど、でもとっても綺麗。

 なぜかはわからないけど、あばら骨のでこぼこまでえっちに見えるから不思議。

 「知世ちゃあん……」

  我慢できなくなっておねだりしたけど、

 「ちょっと待ってて下さいね」

  といって、知世ちゃんは立ち上がりました。

  そおっと隠れるみたいに近づいて、開けてあった窓を閉めます。そういえば忘

 れてた。外に声が聞こえちゃったら、きっとえっちなことしてるんだってばれち

 ゃう。そしたらもう外には出られなくなっちゃうけど……ちょっとだけみんなに、

 いまさくらはえっちなことをしてますっていいたいような気がする。

 「暑いですけど、大丈夫ですか?」

 「うん……」

 「暑い方がえっちな気持ちになれますわ」

  そうかもしれません。聞こえてたセミの声が小さくなって、いま窓を閉めたば

 かりなのにとっても暑くなったような気がした。じわっと汗が出てきて、ぬるぬ

 るしてきもち、いい。いつもはべとべとしてきもちわるいって感じてたのに。

  戻ってきた知世ちゃんが、じっとわたしを見つめて、それから、それから……。

 「さくらちゃん!」

 「ほええ──」

  とつぜんぎゅうって抱きついて、ほっぺたをこすりつけてきたの。

 「こうやって誰かと肌をあわせること……夢でしたわ。したくてしたくて、いつ

 も悶々としてました。でも、それが叶いました。嬉しくて──おしっこ漏らしそ

 うですわ……」

  そっか。知世ちゃんも我慢できないんだ。いろいろ教えてくれるから落ちつい

 てるのかと思ってたけど、わたしと同じくらいどきどきしてるんだね。やっぱり

 おなかのなか、むずむずしてるのかな。おまんこのところ、きゅってなってるの

 かな。

  知世ちゃんがぐいぐいからだを押しつけてくると、つめたくてすべすべした胸

 がわたしの胸とこすれてちょっと痛かった。でも、それがとっても嬉しい。ふた

 りの胸があわさっているところで、心臓が怖いくらいとくとくしてる。知世ちゃ

 んの心臓なんて、そんなに動いてだいじょうぶなのかなあって心配しちゃうくら

 い早いの。

 「ああう──」

  ぞくっとした。知世ちゃんがわたしの耳を、ぱっくりお口の中に入れちゃった

 みたい。ぬるぬるした舌が、ひだひだの間も穴の奥にも入ってきて、くちびるで

 はむはむって耳たぶをはさんでくれる。頭の中でぴちゃぴちゃ音がしてるみたい

 で、すっごくうっとりしちゃう。

  そのうちに、知世ちゃん、わたしのからだをあちこちさわり始めた。背中を撫

 でて、腕をもんで、ふとももをぎゅうって押した。

 「さくらちゃんの身体……柔らかいお肉の中に、生ゴムみたいな筋肉がたっぷり

 詰まってますわ……。これがいつも元気なさくらちゃんの身体なんですわね……。

 走ったり、跳んだり、とっても健康的な……。でもいまは、えっちなことをされ

 て、ひくひく動いてますわ。……なんてえっちなんでしょう」

 「そんなあ……」

 「えっちなさくらちゃん、とっても素敵ですわあ……」

 「ふええ……」

  だんだん知世ちゃんの声が震えてきてるのがわかった。ううん、それだけじゃ

 なくて、ときどきほんとにぶるる、って震えてるの。

  それから知世ちゃん、もじもじそわそわして落ちつかなくなって、とうとうわ

 たしを押し倒して、その上に座っちゃった。

 「さくらちゃん……さくらちゃん……」

  なんどもいいながら、おしっこを我慢してるみたいに、わたしの腰の上におし

 りを擦りつけてくるの。やわらかいおしりのお肉が、開いたり閉じたりしている

 のがわかるくらいです。ちょっと腰の骨が痛かったけど、そんなの気にならなか

 った。だって、きっと知世ちゃんのおまんこが、いまわたしに当たってるはずだ

 もん。

 「知世ちゃん……きもちいいの? きもち、いいの?」

 「はい……すご……いいですう……」

  いっしょうけんめいくねくねおしりを振っている知世ちゃんは、泣きそうなお

 顔でそういいました。とろとろしたよだれが垂れて、わたしのおなかに落ちてき

 ます。

  そのうちに知世ちゃんはわたしの足を一本お股にはさんで、前後に動き出しま

 した。すっごくきもちよさそうなお顔をして、泣き声を上げながらです。ふとも

 もに知世ちゃんのさらさらしたパンツが擦れるけど、なんだかちょっと湿ってる

 みたい。

 「さくらちゃ──きもちいいっ!」

 「知世ちゃん……」

 「私……私……はしたなくいってしまいそうですわあ!」

 「いっちゃう? どこへ?」

  わたしはがくがく揺さぶられながら聞きました。

  でも、知世ちゃんは答えてくれません。

  ひぃひぃ泣きながら、よだれをぼとぼと落としておしりを振るんです。

  すごくえっちな知世ちゃん……。

 「いかせて下さい──いく──いくっ──!」

  すごい勢いでおしりを振り出した知世ちゃんが、突然固まったかと思うと、び

 くびく身体をけいれんさせて白目を剥いて、

 「ううううううううう──」

  と唸って、きゅ、きゅ、きゅ、と三回ふとももでわたしの足をはさむと、おま

 んこのところに、なにか熱くてぬるぬるしたものを、じわって漏らして倒れてし

 まいました。それがおしっこじゃないのはなんとなくわかった。だってとっても

 えっちな感触がするんだもん。

  知世ちゃんは、はぁはぁしながらわたしの胸の上に倒れています。

 「知世ちゃん?」

  声をかけても、返事をしてくれません。

  ちょっと心配だったけど、わたしはそのまま知世ちゃんのからだを抱きしめて、

 下から腰を擦りつけてました。知世ちゃんがものすごくきもちよくなったんだな

 ってわかってたし、それを見てたら、なんだかたまらないきもちになってきちゃ

 ったから……。

  わたしは、知世ちゃんが動かないのをいいことに、いっぱいえっちなことをし

 ました。おしりに両手を当てて、もんだりします。ふにって、やわらかいおしり

 でした。ぐにぐにいたずらをしながら、あっつくて湿ったおしりのわれめに指を

 入れて、そこを開いたりもしちゃいました。両足で知世ちゃんの足をはさんでは、

 おまんこを押しつけたり。

  ふんふんいいながらうっとりしてたら、知世ちゃんがもそもそ動き出したので、

 わたしは残念だったけれど、いたずらをやめていいました。

 「知世ちゃん……だいじょうぶ?」

  ゆっくりとわたしを見て、

 「はい……とっても素敵でしたわ……」

  と、まだとろんとしながら知世ちゃん。

 「知世ちゃん、すっごくきもちよさそうだったね」

 「ええ……さくらちゃんの足におまんこを擦り付けながら、いってしまいました

 わ……」

 「……いくって、どこへ?」

 「いく、というのは、そうですわね、簡単に言えば、ものすごくきもちよくなる

 ことです。きもちいいのが爆発してしまうと言えばいいでしょうか」

 「ものすごく……」

 「はい。いっている時に背中をナイフで刺されても、きっと痛みを感じないまま

 死んでしまえるくらいのきもちよさです」

 「そ、そんなに?」

 「それはもう、とてつもなくですわ」

 「ほええ……」

  えっちなことをして、きもちよくなって、それがもっともっとすごくなって爆

 発しちゃうなんて、ちょっと想像できません。なんだか知世ちゃんがそんなきも

 ちよさを感じてたのかと思うと、恥ずかしいです。よくわからないけど、えっち

 なきもちよさを感じているところを誰かに見られるって、みっともないようにも

 思えちゃいます。

  でも……。

 「さくらも、さくらもきもちよくして欲しいよう……」

 「もちろんそのつもりですわ。さくらちゃんがいくところ、私も見たいですから」

  見てもらいたいって、そう思いました。

  知世ちゃんはちょっとからだを下に動かして、わたしの胸に手をのばしてきま

 す。きっとちくびをさわってくれるんだ。すっごくうれしい……。

 「うにゅう……」

  へんな声が出ちゃったよう。

  そおっと、ちくびの先をゆびで擦られちゃった。

  自分でもぷっくりしてるのがわかるくらいのちくびに、むずむずしたきもちよ

 さを感じます。おしりの穴が、勝手にひくひく、閉じたり開いたりしちゃうんで

 す。

 「すごい……ちくび、きもちいい……」

 「さくらちゃんの乳首、頑張って勃起してますわ……」

  頭を起こして見てみたら、くるくる動いているゆびの下に、わたしのちくびが

 見えました。小さなぴんく色のおっぱいの元の先っちょで、右に左に転がされて

 る。

 「うわ……おっきくなってる……」

 「すごいですわ、まわりにもぽつぽつが一杯です」

 「は、恥ずかしいよう……」

 「はしたない乳首ですわ」

 「だって……きもちいいんだもん、しかたないよう……」

 「そうですわね」

  そういいながら、知世ちゃんがお顔を胸に近づけました。

 「舐めてくれるの?」

 「はい」

 「うう、すっごくきもちよさそう……」

  嬉しくなっていっているうちに、てらてら光った舌が──。

 「はひゃあっ!?」

  すごい、すごい、すごいよう!

 「きもちいい、きもちいい、きもちいいよ知世ちゃんっ!?」

  ばたばた暴れちゃいました。

  ぬるっとしててあったかい舌がくにくにちくびを舐めると、ものすごくきもち

 いいんです。えっちな感じが頭の中でぴかぴか光って、わたしは赤ちゃんみたい

 に泣いちゃいました。まぶたがぴくぴくして、勝手に白目を剥いちゃう。きっと

 すごくみっともない顔をしてるんだろうなあ……。

 

 

 

 「まだまだ、これからが本番ですわ」

 「ま、まだきもちよくなれるの?」

 「死んでしまうかもしれませんわね」

 「いいよ、こんなにきもちいいなら、さくら、死んじゃってもいい!」

 「でもそれでは、もう月城さんにもお逢い出来なくなってしまいますわよ?」

 「いいもん! きもちよければそれでいいんだもん!」

 「あら、まあ……」

  知世ちゃんはちゅうってキスをして、よだれをいっぱい流してきます。それを

 こくんって飲み込んでいると、お股のところがもそもそし始めました。知世ちゃ

 んが腕をのばしているからです。

  パンツの上から、ふとももの付け根を触られました。

 「ううっ……」

  ぎゅうって足を閉じてしまいます。

 「お、おまんこになにかするの?」

 「そうですわ。足、開いて下さいな」

 「う、うん……」

  ちょっと怖かったけど、いわれた通りにしました。ちくびよりもおまんこの方

 がえっちな場所だし、そっちの方がきもちいいはずです。

 「うらやましいですわ」

  急に動きを止めて、知世ちゃんがそっといいました。

 「な、なにが?」

 「始めてここに触れるのが、誰かの指だなんて。さくらちゃんは幸運です」

 「そうなの?」

 「私もまだ経験はありませんが、絶対に自分で触るよりも気持ちがいいはずです」

 「う、うん……。あの、あのね、知世ちゃん」

 「なんですか?」

 「あ、あとでわたしも……知世ちゃんの、触ってあげるね?」

 「ほんとうですか?」

 「うん……」

 「嬉しいですわ!」

  ほんとうに嬉しそうにいって、知世ちゃんはずぶって足の間に手を入れました。

  わたしはびっくりして、その手をふとももではさんでしまいます。

  ゆびが──ううん、ほんとはなんだかわかんないんだけど、おまんこをうにう

 にしてきます。こんなところをこんなふうに触られるのは始めて。だから、えっ

 ちなところを触られてるんだなあってきもちと、くすぐったいような痛いような、

 不思議なかんじがぐちゃぐちゃになって、わたしはなにかを叫んだみたいでした。

 「湿ってますわね」

 「うん……ちょっとお漏らししちゃったみたい……」

 「でも、それだけじゃありませんわ」

  わたしもそう思いました。さっき知世ちゃんが漏らしたみたいなのが、きっと

 漏れているはずです。ちくびを舐められているときに、おしっこの出るところじ

 ゃない場所から、なにかがとく、とく、って漏れてるみたいな感じがしてたもん。

  知世ちゃんのゆびが、縦におまんこを擦ります。なんだかパンツごと、それを

 はさんでるみたいな感触。すっごくきもちいい。ぬるぬるしてきた。わたし、こ

 のえっちなきもちよさ、大好き!

 「にゃ──きもちいいよう……」

 「あらあら、こんなにおしりを振って……」

 「だってぇ……」

  勝手に動いちゃうんです。かくかくって、おしりが動いちゃうんです。

  知世ちゃんはいっぱいわたしをきもちよくさせながら、

 「きもち、いいですか?」

  って聞きます。

  わたしは何度もこくこくうなずきました。

 「すごい! おまんこぬるぬるになっちゃうよう!」

 「さくらちゃんったら、えっちな女の子ですわあ……」

 「と、知世ちゃんだってぇ……」

  くすりと笑って、

 「女の子はみんなえっちなんです」

  だって。

  うん。そうだよね、だってこんなにきもちよくなれるんだもん。

  くい、って、知世ちゃんがしてくれた。

  びくびく、って、わたしはけいれんする。

 「ああう、ああう、ああう」

  そのたびにへんな声が出ちゃう。我慢できないの。すっごくえっちな声。おな

 かの中と背骨の中を、ちっちゃな虫の大群が、かりかりひっかきながら動いてる

 みたい。むずむずして、恥ずかしいけど、おならが出ちゃいそうだよ。おしりの

 穴に力を入れると、おまんこもひくひくする。とろ、とろ、って、なにかが漏れ

 る。からだ中が熱くなってます。

 「かゆ──かゆいよぅ!」

 「それはいけませんわ。私が見てさしあげます」

 「うん! うん! 見て、知世ちゃん、見て!」

  知世ちゃんがパンツを脱がします。

  わたしはおしりを持ち上げて、やりやすいようにしました。恥ずかしかったけ

 れど、そんなの、きもちよくしてくれるなら、ぜんぜん平気です。

  するりとパンツが足から抜けると、ああ、見られちゃうんだなあって思いまし

 た。でも、知世ちゃんはおまんこに触ってくれません。どうしたのかなって思っ

 てたら、なんだかちゅうちゅう音がしました。

 「あっ──」

  わたしは慌てて跳ね上がりました。

  知世ちゃんったら、うっとりしながらわたしのパンツを吸ってるんです。

 「や、やめてよう!」

 「さくらちゃんのおしっこ……」

 「そんなのきたないよ、だめだよ!」

 「しょっぱくて、えっちな味ですわ……」

 「ふええ……」

  見ていられなくて下を向いたら、そこにはわたしのおまんこがありました。ち

 ょっとしか見えないけど、スジが一本。こんなところがきもちいいなんて、不思

 議です。

 「なにを見ているんですの?」

 「うん、おまんこ……」

  つい答えてしまいました。

  あって口をふさいだけど、知世ちゃんはあまり気にしてないみたいです。

 「かわいらしいおまんこですわね」

  にっこりして、足の間を見つめます。きっと知世ちゃんからだと、よく見える

 はずです。わたしは気づかれないように、ゆっくりと足を開いて見せてあげまし

 た。

 「そ、そうなの?」

 「はい。そくらちゃんはかわいいですから、おまんこもかわいいんです」

  そうなのかなあ?

 「でも……ただのスジだよ?」

 「そんなことありませんわ。内側は複雑なんですよ?」

 「ほえ?」

  よくわかんない。おまんこって、なんだかわれめみたいになってるから、きっ

 とおしりみたいな感じなんだろうなあとは思ってたけど、調べてみたことはない

 もん。たぶんおしっこの穴とかはあるんだろうけど。おトイレに行くと、中であ

 ふれたみたいになって出てくるから。

 「見たこと、ありませんの?」

 「うん」

  知世ちゃんはうなずいて、

 「では、私のを見せて差し上げます」

  って、パンツを脱ぎ始めました。

  うわあ、知世ちゃんのおまんこかあ……どんななんだろう? すごくわくわく

 します。

  知世ちゃんのパンツは、わたしのとは違って、ちっちゃくて三角形をしてます。

 座ったままお膝を曲げて片足ずつ脱ぐと、くしゃっと丸まってしまいました。

  わたしはつばを飲み込んで、じっとそこを見ちゃった。足の間に、やっぱりス

 ジが一本。なんだか濡れてるみたい。わたしと同じで、毛は生えていません。大

 人になるとそこに毛が生えてくるのは知ってるけど、毛が生えたおまんこなんて

 見たことがないから、ちょっと想像はできない。

 「知世ちゃん……」

 「どうですか、私のおまんこ?」

 「うん……なんだか、かわいいかも……」

 「嬉しいですわ」

  知世ちゃんの声、ちょっと震えてる。きっと恥ずかしいんだね。いつもスカー

 トの下にあって、誰も見たことのない場所。そんな大事なところを見せてくれて

 るんだって考えると、きゅうって胸が締めつけられるみたいに嬉しい。口の中が

 むずむずしちゃうよ。

 「それでは、開きますわね」

  そういって、知世ちゃんは足を開いて両手でおまんこの端っこをおさえます。

 「開く?」

 「御開帳ですわ」

  ごかいちょーって、なんだろう? それに、おまんこって開くものなの?

 「んは……」

  小さく息を漏らして、知世ちゃんは目を閉じました。ひくってお鼻が動きまし

 た。

  知世ちゃんのゆびが、おまんこのお肉を横にひっぱると、スジがわかれてぱっ

 くり開きました。ぷっくりしたお肉が両側にもりあがって、まんかなには、なん

 だか葉っぱみたいな形になったところが。

  そこは、とろとろに濡れていました。開いたときにくちゃって音がしたくらい

 です。ちょっと白っぽい水飴みたいな液が、お肉の間に糸を引いて、それから溢

 れたみたいに床に落ちたの。

  ぱっくり開いたところは、うすいぴんく色です。なんだかお口の中みたい。両

 側のお肉の中に、ちょっとひだひだがあって、おしりのほうに小さなスジが見え

 ました。

 「これが知世ちゃんのおまんこ……」

 「さくらちゃん……ひんっ!?」

  悲鳴を上げながら、知世ちゃんはおまんこをひくひくさせました。そしたらお

 しりのとこころのスジから、ぷくって液が出てきてこぼれたの。

 「なんか出てきた……」

 「いやですわ、止まりません……」

 「すっごぉい……いっぱい出てくるよ……」

 「うう、我慢出来ませんわ……」

  知世ちゃんが、突然ゆびを動かし始めました。おまんこの中をくちゅくちゅ擦

 って、おしりをひくひくさせるの。

 「あうっ──いいきもち……ひん、ひん、ひぃん!?」

  すごい。知世ちゃんのゆび、めちゃくちゃな速さで動いてる。きっとこれがじ

 いなんだね。知世ちゃんがいつもしてるのって、これなんだ。

 「知世ちゃん……きもちいいの?」

 「あ──」

  ぐぐってからだに力を入れて、知世ちゃんがじいをやめた。

 「すみません、わたしばっかり……」

 「ううん、いいの」

  くびを振ると、知世ちゃんがいいました。

 「さくらちゃんも、御自分のおまんこを開いて下さいな」

 

 

 

  そっと両手をあてて、ゆびでおさえてみる。

  わ、なんだかやわらかくて、きゅんってするよ。おしっこ拭くときにはこんな

 感じしなかったのになあ。

 「こ、これでいいの?」

 「はい。そのまま開いて下さい」

 「うん……」

  ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり。

  にちゃ、って感触がした。

 「うひっ!?」

 「大丈夫ですか?」

 「だ、だいじょぶ……ちょっとびっくりしただけ……」

  やっぱりわたしのも濡れてるみたい。深呼吸してから、もういちど。

  ずきん、としたへんか感じがして、熱いはずのお部屋の空気がひんやりとした。

  うわあ、開いちゃったよう……。

  おへそを覗くみたいに下を向くと、わたしのおまんこもぴんく色になっていた。

 ふわっとした、ちょっと甘酸っぱいへんな匂いがのぼってくるけど、あんまりい

 やじゃない。ううん、それどころか、ぞくぞくするいい匂いかも。知世ちゃんに

 も嗅がれちゃったかなと思うと、ちょっと恥ずかしいけど。

 「綺麗ですわね」

 「あ、ありがと」

  お礼をいって顔をあげたら、知世ちゃん、わたしのおまんこを見ながら自分で

 してた。ゆびまでぬるぬるになって、とってもきもちよさそう。

 「さくらちゃんも、してみて下さい」

 「うん……」

  嬉しかった。してみたくて仕方なかったの。

  ひとさしゆびで、おまんこのまんなかを触ってみた。ぬるぬるしてて、ぺとぺ

 としてて、すぐに傷がついちゃいそうだったけど、ちょっとゆびを滑らせただけ

 で、すっごくえっちなきもちよさがおしりをひくひくさせるから、何度も何度も

 擦っちゃった。

 「はにゃあ、きもちいいよう……」

 「上手ですわ……」

 「知世ちゃん、おまんこ、とってもきもちいいね……」

 「はい、私もすごく気持ちがよろしいですわ……」

  ふたりで見せっこしながら、ぬるぬる、ぬるぬる。

 「ほら、さくらちゃん、ここを……」

 「ここ?」

 「そうです、そこです」

  知世ちゃんが教えてくれた場所は、おしりの方のスジです。ぬるぬるがいっぱ

 い出てくるところ。ゆびで押すと、ちょっとへこんでるみたいな感じです。

  知世ちゃんがゆびをはじくみたいにしてそこを叩くと、ぷちゅぷちゅ音がなっ

 て液がとろとろこぼれます。わたしも同じことをしてみたら、おまんこがゆびに

 吸いついてくるみたいで、自分のからだなのに、そこがとってもいやらしく感じ

 た。

 「セックスをすると、そこに男の方のペニスが入るんですわ」

  知世ちゃんがいった。

 「ペニスって、おちんちんのこと?」

 「はい」

 「ほええ……」

  セックスって言葉は、知ってた。男のひとと女のひとが、はだかでえっちなこ

 とをするのも。ほんとはよくわからなかったんだけど、こうやって自分でえっち

 なことをしてみると、どうしてそんなことをしたくなるのかが、わかるような気

 がする。でも、こんなところにおちんちんを入れるなんて知らなかった。わたし

 はてっきり、擦りあわせるだけかと思ってたもん。

 「そんなところに、でも……入るの?」

 「入りますわ。ほら、ご覧になって下さい」

  知世ちゃんが小さなスジにゆびをかけて、きゅって開いて見せてくれた。そし

 たらおまんこが開いたみたいに、そのスジも開いて、なんだか奥に続く小さな穴

 になっちゃった。

 「穴が開いてる……」

 「膣っていいますの。ここにペニスを挿入する事を性交、つまりセックスと言う

 のですわ」

 「や、やっぱりきもちいいのかな、セックスって」

 「よろしいようですわね。女性は膣の中をペニスで擦られるわけですし、男性は

 滑らかな膣に包まれて扱かれる訳ですから、それはもう夢のように心地よいに違

 いありません」

 「お、男の子も、やっぱりおちんちんを擦ると、きもち、いいの?」

 「そのようですね。男性が性的に興奮すると、ペニスがさくらちゃんの乳首のよ

 うに勃起しますから、そこを刺激するんです。そして最後には私のようにいって

 しまい、精液という白くてどろどろした液体を発射してしまうんです。これが膣

 の中で起こった場合に、まあ他にも色々要因はありますけれど、女性側の準備が

 出ていると、妊娠するんです」

 「ほえ? じ、じゃあ、セックスって赤ちゃんをつくるためにするの?」

 「本来の目的はそうです。私たちがえっちなことをしたくなるのも、えっちなこ

 とをして気持ちがいいのも、子孫を残そうとする、生物としての本能があるから

 ではないでしょうか」

  そ、そうだったんだ……。なんだか、セックスって、すごい。男のひとも女の

 ひとも、そんなふうにして赤ちゃんをつくるなんて。それじゃあさくらも、お父

 さんとお母さんがセックスをしたから産まれてこれたんだね。

 「さくらちゃん……」

 「は、はい?」

  ぽけぇっとしてたら、知世ちゃんがいった。まだ、ええと、ちつってところを

 開いたままだった。

 「私はまだ子供ですから、セックスは少し早いですが、それでも小指くらいなら

 ば入れられます。さくらちゃんの小指を、入れて下さいませんか?」

 「え、ええっ!?」

 「お願いします……」

 「痛くないの?」

 「私は自慰で訓練していますから」

 「う、うん……」

  私はそおっと知世ちゃんの足の間に入って、ゆっくりこゆびを近づけました。

 「よく濡らして下さいね」

  なんだか緊張しちゃう。きれいなおまんこに、小指を擦りつけました。

 「あは……」

  知世ちゃんが嬉しそうにため息をついた。

 「すっごいね、ぬるぬる……」

  やわらかいおまんこには、ちつから出た液が一杯ついていたので、私のゆびは

 すぐにぺとぺとになっちゃいました。このぬるぬる、それじゃあおちんちんが入

 りやすいように出てくるんだ……。

 「ええと、ここ?」

 「はい。ゆっくり入れて下さい……」

  まっすぐにこゆびを立てて、そぉっと、そぉっと入れてみます。

  にゅる、って、ゆびがあったかくてぬるぬるの穴の中に入っちゃった。

 「ああ、きもちいいですわあ……」

  知世ちゃんは嬉しそう。

 「あったかい……ぬるぬるできつきつだよ……」

 「ぜ、前後に動かしてみて下さい……」

  そうするたびに、知世ちゃんのおしりが跳ねる。ちゅぷちゅぷ音がして、すっ

 ごくえっち。

 「知世ちゃあん、すっごくきもちよさそうだよう」

 「すごい、すごいですわ! 膣がすごいんですうっ!」

 「いいなあ、いいなあ」

 「な、舐めて下さい!」

 「う、うん」

  おしっこの出るところだけど、汚いとは思えません。それに、知世ちゃんがい

 うんだから、きっとセックスしてるひとはみんなそういうことをしてるんだろう

 なって、全然いやな感じはしませんでした。

  ちゅぽんとゆびを抜いてから、顔を近づけて、ぺろっと舐めます。

 「うひゃはあんっ!?」

  へんな声を出して、知世ちゃんは泣きました。なんだか……ええと……ばかみ

 たい。でも、それがかわいらしいんです。

 「知世ちゃん……」

  知世ちゃんのおまんこは、いい匂いがしました。うすい石鹸の匂いです。それ

 と、ちつから出てくる液の匂い。食器の漂白剤の匂いを、うんとうすめたみたい

 な匂いです。

  わたしは音をたてながら舌を動かして、いっぱい知世ちゃんをよろこばせてあ

 げました。そうしているだけで、わたしのちつからもいっぱい液が出てきてるみ

 たい。

 「ひぐっ──さく──あひいっ──きもっちいいっ!」

  知世ちゃんたら、ぐいぐいおまんこを押しつけてくるんです。口のまわりも鼻

 も、液でぺとぺとになっちゃった。

 「上! 上! 上!」

  必死になって知世ちゃんがいいます。自分のゆびで、おまんこの上のところを

 くりくりするんです。

  きっとそこがきもちいいんだろうなって、わたしは舐めてあげました。そした

 ら、こりっとした固いものがくにくに動きました。

 「クリトリスゥッ!?」

  もうこうなると悲鳴です。きっとこりこりしたところの名前だと思う。

 「勃起したクリトリスきもちいいっ!」

  そんなことをいって、少ししたころです。

  知世ちゃんはしゃっくりみたいな息をしながら、びくびくけいれんを始めまし

 た。

 「いぐっ──もういっちゃうんですうっ! いぐうっ!?」

  その後しばらくぶるぶるして、ちつからあったかい液を何度か漏らして、知世

 ちゃんはぐったりしました。きっといっちゃったんだ。どんなにきもちがいいん

 だろう?

 

 

 

  わたしは我慢できなくなって、ひとりでおまんこを触りました。

  ぬるぬるしたのを擦ると、背骨がずきずきするくらいきもちがいいの。

 「さくらのおまんこ……いいきもちだよう……」

  ひとりでにそんなことをいっちゃいます。よだれがとろとろこぼれちゃう。

  もっときもちよくなりたくてちつにこゆびを入れようとしたけれど、わたしの

 はまだ練習が足りないみたいで入りませんでした。入口が狭くて、無理に入れよ

 うとすると痛いんです。くやしいので、吹き出てくる液をぐちゃぐちゃかき回し

 ちゃいました。

  それから、くりとりすを触ってみました。

  場所はよくわからなかったけど、たぶんこのへんに──。

 「うっきゃああっ!?」

  じょろりとおしっこが漏れて、床に流れた。うすいお肉の中に、小さくて固い

 ところがあって、それがものすっごくきもちいいんです。

 「うきいっ!?」

  またおしっこが漏れちゃった。

 「うひんっ!?」

  また。

  ばちばちって頭の中がしびれて、からだが勝手に痙攣するんです。それなのに

 おまんこからは力が抜けて、おしっこが出ちゃう。

  もうわたしは夢中です。いっしょうけんめいくりとりすをこりこりします。

  そしたら、だんだんおっきくなってきました。

 「ぼ、ぼっきしちゃう! ぼっきするときもち──きんもちいいようっ!」

 「そこが一番きもちいいところですから」

  あへあへしてたら、いつのまにか知世ちゃんがそれを見てた。

 「と、知世ちゃんっ! すごい! すごいいっ! すごいきもちいいっ!」

 「心臓、とまりそうじゃありませんか?」

 「止まっちゃう! 止まっちゃってもいいっ!」

  知世ちゃんが笑ったような気がしたけど、よくわからない。とにかくきもちよ

 くって、もっともっときもちよくなりたくて、えっちなことしたくって、もうど

 うでもいいの。笑われたって、殺されちゃったって、もういいもん!

 「クリトリスは、男性のペニスとよく似ているそうですわ。男性はセックスをす

 る時に、大きくなったクリトリスを膣に入れているようなきもちよさを感じるん

 ですわね」

 「こ、これがちつの中に?」

  想像しただけできもちよさそうです。ぬるぬるであったかくてきつきつのちつ

 の中に、こんなのが入ったらどれだけきもちいいんだろう……。

 「したいよう、セックス! 知世ちゃんのちつに入れたいよう!」

  わたしは叫びなが、おしりをもちあげて振り回していました。かくん、かくん、

 かくかく、かくん、と、自然に動いちゃうんです。

 「ああう、な、なんか出ちゃううっ!?」

  おまんこがきゅっとしまって、ぴゅって液が飛び散りました。

 「あらあら……」

  知世ちゃんが呆れたようにいいました。

  でも、そんなことをいいながら、知世ちゃんったら床に落ちた液をゆびにつけ

 て、自分のおまんこに塗ってるんです。

 「えっちい……」

 「さくらちゃんこそ……」

  それからわたしたちは、いっぱいおまんこを擦ってひぃひぃ泣きました。

  そのうちに、わたしの足の間に知世ちゃんが入ってきたんです。

 「おまんこを擦りあわせると、きっときもちいいですわよ……」

 「す、すっごくいい考えだよ知世ちゃんっ!」

  わたしも協力して、足と足をからめます。

  そうすると、ふたりのおまんこがくちゃってくっつくんです。

 「あああ、あっつい!?」

 「ぬるぬるですわっ!?」

  知世ちゃんのおまんこが、わたしのおまんこに吸いつくみたい。

  ふたりでおしりを振ると、ぬるぬるしながらくっついて、もうどうにかなっち

 ゃいそうです。

 「と、知世ちゃん、これ、セックス? セックスだよねっ!?」

 「セ、セックスですわあっ!」

  ふたりぶんの液があふれて、おしりもふともももぬるぬるしてる。

  わたしたちはあばれながら泣きました。

  きもちいいのがどんどん膨らんで、おなかいっぱいです。虫がはいまわってお

 しりの穴まできもちいい。

 「いいひひっ──きも、きもち──すっごい! すっごいいっ!?」

 「いくんですのね、さくらちゃん、いくんですのね!?」

 「う、うんうんっ! いくのかも、いくのかもしれないようっ!」

 「ああ、さくらちゃんが始めていくんですのねっ!?」

 「さくら、始めていくのおっ!」

  ぎゅううううって、おなかの中が縮んだ。おしりがびくんびくん跳ねて、頭の

 中がきもちよくなって、鼻血が出そうになった。──おならも出ちゃったし、お

 しっこも出た。からだ中からいろんなものが出ちゃう。これがいくってことなん

 だ。すっごくえっちでしあわせできもちよくって──。

 「きもちいいっ! きもちいいっ! きもっち──いひひひいいいっ──!?」

  なんにも考えられなくなっちゃった。

  きっとさくら、死んじゃったんだ。

  知世ちゃんも、何か叫んでた。

 「いくう──ああっ! あわわわわわわっ!?」

  じゅわあってなにかが濡れたみたいな感じがして、それからわたしはぐったり

 しながら、ただはあはあしてた。

 

 

 

 「うう……」

  知世ちゃんがそっと離れたので、わたしは呻いた。おまんことおまんこの間に、

 ねとおって糸が出来て、ぷつんと切れて落ちた。

  じんじんする。なんだかとっても疲れちゃった。

 「さくらちゃん……」

 「……なあに?」

 「きもち、よかったですね……」

 「うん……すっごくよかった……」

  もそもそおきあがると、足がずきんとした。

  ちょっとふきらはぎから血が出てる。知世ちゃんがいきながらつねってたから

 だね、きっと。

 「あ……」

  知世ちゃんが泣きそうな顔をした。

 「す、すみません……私ったら、つい……」

 「いいの。全然だいじょうぶだよ?」

  なんだか急に恥ずかしくなってきちゃった。だってわたしのからだ、いろんな

 液でべとべとなんだもん。

  知世ちゃんもおんなじみたいで、なんだかおまんこを隠そうとしてる。

 「あ、あはは……」

 「ふふ……」

  ふたりで笑って、後片付けを始めました。

  タオルでからだと床を拭いて、服を着て、窓を開けて、わたしはキッチンに降

 りてから、新しいジュースを持ってきた。

  一息に飲むと、おなかの中に冷たいのが広がる。きっとこうやって飲んだのが、

 えっちな液とかになるんだね。なんだか人間って、えっちなことをするために生

 きてるみたいな気がする。

 「さくらちゃん」

  知世ちゃんもジュースを飲み終わったみたい。

 「なに?」

 「わかりましたか? ふたつの好き、の違い」

 「……うん」

  わたしはこくんと頷きました。

 「おにいちゃんは好きだけど、ええと、セックスはしたくないみたい。でも、雪

 兎さんとは……してみたい、な。いつか……雪兎さんといっしょに、赤ちゃんを

 つくってみたい……」

  知世ちゃんが笑った。

  わたしは照れながら下を向いてた。

  それから、

 「でも、でもね、知世ちゃん」

 「なんですか?」

 「わたしね、あのね、と、知世ちゃんともしたいな……セックス」

 「ほんとうですか?」

 「うん……きもち、いいんだもん……」

 「私もですわ!」

  知世ちゃんが嬉しそうにいって、ほっぺにちゅってしてくれた。

  なんだか優しい感じがした。

 「それでしたら、今度はビデオに撮りましょうね!」

 「え? そ、それはちょっと……」

 「それを月城さんに見ていただくというのは──」

 「ぜ、絶対だめぇぇぇぇぇっ!?」

  夏休みは、まだ始まったばかりでした。

 

 

 

                                 おしまい

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